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続・輝き始めたむらの女性たち【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第228回2023年2月23日

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女性の発言権は強くなってきた。男の従属物のように牛のように黙々として働くなどいうことはなく、はっきりものを言うようになってきた。

また価格等の面でもさまざまな知識をもつようになっていることから、かつてのように経営についてはまったく知らないなどということはなくなってきた。経営についても発言するようになり、経理も知っているので堂々と小遣いを要求するようになってきた。

自分が中心になっている野菜などの部門についてはその収入をすべて自分のものとする女性も出てきた。農協のなかには女性に自分の通帳を持たせる運動を展開してそれを推奨したところもある。男はそれを止めることができない。それならその部門を止めるなどと女性から言われたら困るからである。女性はただ働きの労働者ではなくなってきた。

さらに経営をリードする女性も出てきた。山形県南の山間部のある町の三人の女性などはその典型である。彼女らはそれまでこの町にまったくなかった花き栽培を始めた。夫はそれを止めることができない。それどころかハウスづくりなどを手伝わされる。そのうち花き栽培が軌道にのる。

こうしたなかで、これまで経営の柱としてきた繁殖牛飼育を夫はやめ、花に集中するものも出てきた。まさに女性は経営の主体となってきつつある。とくに園芸部門では女性が大きな役割を果たすようになってきた。

また、農産物の直売所や農産加工施設を女性が主体となって起ち上げ、運営し、大きな成果をあげている事例も各地で見られるようになった。そして「女性起業」が行政やマスコミでもてはやされるようになってきた。

女性が、技術者・経営者・労働者として、生き生きと輝き始めるようになってきたのである。そして男性と対等になってきた。

もちろん力仕事とか危険な作業についてはやはり男性が主体となってやらなければならない。しかし逆に、肥培管理などのきめ細かい作業などは女性が中心となる。花き農家の男性がこんなことを言っていた、男は芽かきなどの細かくしかも単調な作業を長時間やっていられない、それから女性は細かいことによく気がつく、ともかく花の栽培では女性が必要不可欠だと。

畜産農家も管理では女性にかなわないという人もいる。また金の出し入れの管理や経理も女性の方がいいという人もいる。個人差はもちろんあるが、男女の差はやはり否定できないのである。

そうなると男女お互いに補完しあいながらまさに対等平等の立場で協力していくべきだということになる。そして、経営の構成員間での分業のさいに女性が経営主となることも当然考えていい。

もちろん現実には経営主はまだ圧倒的に男性であり、家の資産は男性の所有である等々、いまだ対等になっていないという問題は残っている。でも、ともかく女性が主体となって経営しても奇妙に思わない時代になってきた。

こうしたなかで、今、むらの女性は元気だ、農業従事者数も女性が多い、これからは女性を農業従事者として重視し、担い手不足を解消しようと言う人たちもでてきた。1992年に政府が打ち出した新政策(「新しい食糧・農業・農村政策の方向」)でも女性の重視を打ち出した。

カアチャン農業、女性の重視、これも結構である。そもそも原始時代は男性は狩猟、女性は農業をやっていたのだ。しかも今、むらの女は輝き始めている。だから農業は女性にまかせていいのかもしれない。そして「元始、女性は太陽であった」ころに戻ってもいいのかもしれない。

しかしそれは難しいだろう、私にはそう思えた、20世紀末には輝き始めた女性たちの後継者が農村にいなくなりつつあったからである。それは次回お話させていただこう。

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