スピーチ、プレゼンは、笑顔でポジティブに!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年2月28日
ビジネス・コミュニケーションは欧米スタイルに!

40歳を過ぎ、欧米の国々に出かける回数が増えていくに従って、日本人は特有のコミュニケーション・スタイルをもっていることを知る。現地で生活する日本人には、具体的に教えられたり、ずいぶん学ぶことが多かった。
なかでも、「お辞儀」について。欧米人との挨拶での立礼(りゅうれい)では、相手との距離にかかわらず、マジメ顔ではなく、思いっきりの笑顔で、身体全体を使ってお辞儀した方が良いとアドバイスされた。この数十年、海外での会議などでは、意識していることである。日本人のお辞儀は、褒めていただくことが多く、真似してお辞儀してくれる欧米人とは、すぐに親しくなったものだ。
海外での会議や集まりの際、挨拶の風景を観察していると、実に多様で、握手やハグ、チークキス(頬を合わせる)など、決まったパターンはないようだが、とにかく明るく、元気が良く、笑顔満開だ。日本とは大違い。ただ、異性との握手、ハグやチークキスは、相手が求めてきた場合のみに応じること。これだけは、気をつけている。
欧米人のハグは、武器を持っていないことを相手に理解してもらい、警戒心をなくすための行動だという。対して日本は、島国であり、集落共同体型の社会だったので、相手を用心し、警戒する必要がない。だから、ハグの必要はなく、簡単なお辞儀で挨拶を済ます、ということのようだ。
ただし、このような日本的なスタイルを推奨しているわけではない。というのは、断言はできないものの、ビジネスの世界では、コミュニケーションは明らかに欧米に学び、欧米型のスタイルが、企業規模にかかわらず、浸透してきている。
良く話題になることの一つに、日本人は仏頂面(ぶっちょうづら)が多いといわれる。職場でも、家庭でも、男性の多くが無愛想で、不機嫌な顔つきの人が多く、気難しい人と思われる傾向が強いといわれる。
そのように意識して演出しているとは思えないが、初対面のJA役員で、陽気に笑顔で迎えてくれるケースは少ない。無口かなと思わせ、無愛想で頷くばかり、という印象が多い。それでも、夕食をご一緒して酒が入ると、ガラッと態度が変わり、笑顔で、楽しそうにされるのでホッとした経験は少なくない。
「和顔愛語」から学び、行動は「先意承問」で
神奈川県のJA中央会が運営する教育センター(平塚市)の玄関を入ると、正面に扁額が掲げられている。「和顔愛語」の書である。職員の話では、教育センターの建設時の神奈川県知事で、経済学者だった長洲一二氏の書だという。私が30年ほど前に、研修に出向いた際、この「和顔愛語」に興味をもち、その意味を調べてみた。
「和願愛語(わげんあいご)」とは、浄土三部教の一つ、『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』のなかにある言葉で、「おだやかな(善意に満ちたなごやかな)表情笑顔で、愛情のこもった優しい言葉をかけて、人に接すること」とある。人の組織のJAで、日々組合員やお客さまと接する仕事の職員には、大切な言葉である、との思いからだろう。
この『大無量寿経』には、この後に続く、「先意承問(せんいじょうもん)」という大切な言葉があり、これは実践行動的な意味をもつ。先意承問は、「こころを先にして承問をする、向う(相手)から言われない先に、相手の気持ちを察して、その望みを満たしてあげるということで、相手の立場に立って力を借す。人間のあたたかさ、やさしさ、いたわりが人を動かす」ということのようだ。
毎日、多くの組合員やお客さまと会話をし、相談に応じ、提案するJA職員に求められる「課題解決型」のコーチングそのものである。「和顔愛語」、「先意承問」は、日々のJA職員の行動規範で、コミュニケーションで活かしたい言葉である。
関連した話を続けたい。JAの各種会議に参加させていただいて、いつも気づくこと、できれば意識的に変えてほしいと思っていることを書かせていただく。
JAの理事会や経営会議、支店長会議などの会議の雰囲気は、大人しく落ち着きがあり、沈んだ感じである。だからか、方針などを説明する職員は、会議資料を淡々と読み上げるだけ、要約も意訳もしないか面白くない。それに対して意見や質問をする理事や職員も、ほとんどが気難しい顔つきで、怒ったように話をする。
だから、出るべき意見も出ない。せっかく、これからの組織や事業のあり様や将来のための方針や対策などを話し合ったり、論じたりするのだから、会議全体が暗い雰囲気で、ネガティブな意見のやり取りは避けたいのである。
そんな組織の風景を体感しているJA職員だからか、会議での自己紹介やスピーチ、プレゼンテーションでも、元気が足りない気がする。自信をもって、堂々と身体全体で、ゆっくりと大きな声で話をしてくれたらいいのになぁ。
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