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【JCA週報】生協は暮らしをどう支えるか?コープあいづの歴史と実践(吉川毅一)2023年3月20日

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「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、本機構の協同組合研究紙「にじ」2022年冬号に寄稿いただいた「生協は暮らしをどう支えるか?コープあいづの歴史と実践」です。

生協は暮らしをどう支えるか?コープあいづの歴史と実践

吉川毅一 生活協同組合コープあいづ理事長

3. 今後の課題
かつてピーター・ドラッカーは著書『ポスト資本主義社会』の中で、「西洋の歴史では、数百年に一度際立った転換が起こる。世界は歴史の境界を越える。社会は数十年をかけて次の新しい時代に備える。世界観を変え、価値観を変える。社会構造を変え、政治構造を変える。技術と芸術を変え、機関を変える。やがて50 年後には新しい世界が生まれる」と述べています。

確かに、今起こっていることは、ドラッカーが言っている世界観、価値観が変わっていく、まさにその過程なのかもしれませんが、それは、自然現象的に起こっているのではなく、経験の蓄積によって形成されていくものだと思います。大量生産、大量消費の時代は終わりつつあります。価値観の多様性にコープあいづが、どの領域で、どの部分で強みを生かして組合員の暮らしを支えていけるのか、正念場だと思います。

直近の課題は、生協、協同組合の理念や使命を組織全体の在りたい姿として描き、実践し続ける集団にすることと、人口減少、高齢化が進む中で、組合員の価値観も多様化し、競争環境だけは激化するという会津地域で、事業経営をどうかじ取りするかです。経営が安定していなければ、事業継続もできませんし人材も集まりません。事業全体の見直し、特に店舗事業の再構築は急務です。

協同組合に携わっていると、事業と運動は車の両輪で、どちらかだけを強めるのではなく、バランス良く経営することが大事だ、というようなことをよく言われました。今でもそうした考えは間違ってはいないとは思いますが、車の両輪というよりは、むしろ一輪という表現の方がより理解しやすいのではないかと思っています。生協の事業活動そのものが、組合員の暮らしや住みやすい地域社会を良くする運動・活動だと思う職員集団、創立期のような熱い志をもった仲間の育成が欠かせません。

会津に住んでいる人の暮らし、会津の社会・経済をどうするかは、生協の事業に直結しますので、生協の課題でもあります。買い物困難地域から始めた移動販売も、できる限り地元自治体や居住地区の区長さんなどとの関係づくりを大事にしながら、事業としても成り立つ損益構造にして、社会貢献もできることをめざしています。高齢者の地域見守り協定でも、自治体や警察署と郵便配達や新聞配達、他の宅配業者など多くの関係者での連携協定にするなど、単独で締結するよりも地域のネットワークで支えるような取り組みにしています。

また、会津で一番古い酒蔵だった会州一が破綻した際、会津若松市や地元商店街からの再建要請もあり、会津若松市と商工会議所で構成される「まちづくり会津」の事業として一緒に復活させてきたこともあり、文化活動などでも、一緒に取り組む関係づくりをしてきています。

JAとは地産地消ふくしまネットの取り組みでの関係もありますが、会津管内独自としては消費者団体の組織として食の安全・安心推進会議や地域農業再生協議会の委員の委嘱を受ける関係にあります。

コープあいづは小さな生協ですので、単独で取り組むことには限界があります。ですから、これからも会津に住み、会津で暮らしを営んでいる地域の様々な関係者や、自治体とのネットワークで、「この地域に生協があってよかった、生協があるから暮らしていける」と思っていただけることをめざして、組合員と地域の暮らしを支える一極になれるよう努力を重ねていきたいと思っています。

全体の章立ては下記のとおりです。JCAのウェブサイトにて全文を掲載しておりますので、ご覧ください。

はじめに
1. コープあいづの概況
(1)設立の背景
(2)コープあいづの概況
2.会津地域の組合員の暮らしや地域経済にどう向き合ってきたのか
(1)2008 年リーマンショック
(2)2011 年東日本大震災・原発事故
3. 今後の課題

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