花は輸入も輸出も中国頼み【花づくりの現場から 宇田明】第6回2023年3月23日
前回は、国民の関心が安全保障に移り、グロバリゼーションの影が薄くなりましたが、花産業ではグローバル化がいっそう高まっているという話でした。花のグローバル化は世界の潮流ですが、わが国では輸出入で中国依存が高まり、さまざまな影響がではじめています。
2022年の財務省貿易統計では、花の輸入は527億円、輸出は91億円で、まだまだ輸入超過です。輸入相手国1位は中国で118億円、2位はコロンビアで116億円です(図1)。金額では拮抗していますが、数量(植物検疫統計)では1位の中国が3.4億本、2位のコロンビアが2.7億本で、年々差が大きくなっています。これは中国産が安さを売りにしているからです。
コロナ禍では明暗がわかれました。中国は激増、コロンビアはなんとか現状維持、マレーシアは激減しました。中国はコロナ禍で経済や輸送の混乱などさまざまな問題が報道されていましたが、少なくとも花に限れば、儲けるチャンスは逃がさないというチャイナパワーを発揮しました。
花の需要は、冠婚葬祭、イベント、ギフトなどの業務需要と、ホームユース(家庭需要)に大別されます。ホームユースの中心は、神棚、仏壇、お墓などのお供えなどのいわゆる仏花(ぶっか)です。この仏花のほとんどが中国産です。そのシステムは、サカキ類、キク、カーネーションなどの仏花に使う切り花を中国から輸入し、国内の加工業者が花束にして、スーパーなどに納品しています。
輸出は10年ほどの歴史しかなく、手探りの状態です。輸出91億円の内訳は、植木・盆栽などが74億円、切り花が17億円です。国別ではベトナムが36億円、中国が34億円で、この2か国で輸出の77%を占めています(図2)。
輸出は中国依存が高まっているといいながら、輸出相手国1位はベトナムで、中国は2位です。これにはわけがあります。ベトナムへの輸出はほとんどが植木類で、ベトナムで植栽されるのではなく、中国へ再輸出されています。したがって、ベトナムの36億円は中国向けとみなせます。そうすると、花の輸出は中国向けが70%以上ということになります。中国では日本のマキなどの大木、銘木が富裕層の庭園や公共施設などの植栽に人気です。
切り花も中国への輸出が急増し、他国を大きく引き離しています。EUや米国などには日本が高品質を誇るスイートピー、トルコギキョウ、グロリオサなど洋風の切り花が輸出されていますが、中国は特殊でドウダンツツジやアセビなどの和風の枝ものに偏っています。しかも短期間で人気品目が変わります。
中国への依存度が高まって、どんなことが起こっているのでしょうか。
輸入では、加工した花束が増えていることです。その背景には、わが国の最低賃金のアップ、資材費の高騰などで、花束に加工するコストが上昇していることがあります。中国産の切り花を国内で花束に加工するより、中国で花束に加工したものを輸入するほうが安上がりです。
アメリカの切り花産業は1980年代からのコロンビアからの輸入により壊滅したことは報告しました。まず、切り花の輸入がはじまり、次には、コロンビアで花束に加工し、スリーブに入れ、値札などを貼り、そのままスーパーの売場に並べられる状態で輸入されるようになりました。日本もアメリカの状況に近づきつつあります。
中国産花束の輸入が増えつづけると、これまで花産業をけん引してきた国内の花束加工業が衰退します。また、スーパーが中国の業者から直接に仕入れるようになり、市場外取引が増え、地方市場が減ることが予想され、花屋さんの仕入れがますます難しくなるでしょう。
対策としては、生産者は中国産からホームユースのシェアを奪還するために、これまでの高品質・高単価生産の一本足打法から、お手頃価格で提供できるホームユース用生産との二刀流に転換することです。さらに、サカキ類の国内生産の復活と、第4回で説明した花店での原産地の表示も必要です。
輸出では、隣国中国の巨大な市場、富裕層は花産業にとっても魅力ですが、リスクも大きい。短期間で変わる需要に対応できるだけの生産規模とスピードをわが国の花産業は持っていません。目先の利益だけで、成品になるまで年数がかかる植木類や山採りのドウダンツツジなどの枝ものを大量に輸出することは、持続可能な農業とは言えません。工業製品などからは何周も遅れての花の中国輸出は、持続可能性がキーワードです。
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