ウクライナの戦争犯罪を国連が公表【森島 賢・正義派の農政論】2023年4月3日
ウクライナがロシア軍捕虜に対して行った、即決処刑や虐待などの、いわゆる戦争犯罪は、紛争開始から今までどれ程のものだったか。これを主題にして、国連の人権高等弁務官事務所が、現地で大々的に聞き取り調査を行った。その結果を先月の24日に、14万字の膨大な報告書にして、詳細に公表した。
もちろん、国連は公平だから、ロシアがウクライナ軍捕虜に対して行った、いわゆる戦争犯罪も、あわせて報告している。
ここで言いたいことは、日本の報道機関の多くが、この国連報告をほとんど無視して報道しないことである。そうして、ウクライナは正義のための聖戦をしているように報道している。
そうした報道に支えられて、日本は米欧とともに、ロシアが無条件で降伏するまで戦うことを期待し、期待するだけでなくウクライナを支援している。
だが、聖戦などというものはない。一刻も早く戦争は止めねばならない。
上の図は、国連が公表した報告を、朝日が伝えたもので、ウクライナ紛争を始めて以後の、ウクライナ、ロシア両軍が行った、いわゆる戦争犯罪の件数である。この件数は、大規模調査の結果とはいえ、全体のごく一部だろう。
これをみると、日本の多くの報道機関が伝えてきたこととは違うことが分かる。
これまでの報道は、ウクライナ軍は、正義のために清く正しい戦争をしている、というものだった。それに対して、ロシア軍は、鬼畜のような残虐な戦争をしいる、といっていた。
国連は、この報道が誤っていることを、詳細な現地調査に基づいて発表した。
だが、この図をみて、どちらが清く、どちらが正しいか、を考えることは無意味である。
◇
はじめに、言っておきたい。
この国連報告は正確にいえば、いわゆる戦争犯罪を調査したものである。つまり、いわゆる戦争犯罪に限定している。
ここには、軍人どうしが殺しあう戦争行為は犯罪ではない、という思想がある。それは犯罪どころか、国家が勲章を与えて賞賛すべき行為である、という思想がある。
多くの人は、この思想を受け入れないのではないか。そうだとすれば、いわゆる戦争犯罪を止めさせるだけではなく、戦争行為そのものを、つまり、戦争を止めさせねばならない。
◇
だが、戦争を止めさせたくない勢力がある。それは、米欧側である。米欧側は、ウクライナを負けさせてはならぬ、といっている。そのために、ウクライナを支援し、ウクライナが勝つまで戦争するように支援を続けるといっている。ロシアが降参するまで続けるという。
残念なことだが、日本はその中の一国である。
これでは、戦争は延々と続く。戦争犯罪は増え続ける。それでも日本人の心は痛まないのか。
戦争は、一刻も早く止めねばならない。
(2023.04.03)
(前回 政党は政治論の土台を示せ)
(前々回 学校給食は米粉パンと米粉めんで)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
https://www.jacom.or.jp/contact/
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日