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樹々は万人、開発は蛮人【小松泰信・地方の眼力】2023年4月5日

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「長崎原爆を題材とする映画『母と暮せば』の音楽を引き受けて『核のない世界を望む僕としては、やるしかない』とコメントしている。強いメッセージを心の赴くままに発するのも、日本人の芸術家としてまれだった」と、坂本龍一氏(3月28日逝去)の死を悼むのは長崎新聞(4月4日付)のコラム「水と空」。

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石木ダム問題にも心を寄せる

さらに同紙は社会面で、環境問題に関心を寄せ、積極的に発信していた坂本氏が、2018年3月、長崎県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダムの建設予定地を訪問したことを伝えている。

氏は、石木川周辺を歩き、記録写真などを見て、「美しい棚田が目を引き、ウグイスの鳴き声が聞けるぜいたくな場所」と感想を語り、サイン色紙を公民館に残した。

「世界的に有名な方が、実際にやってきて、話を聞いてくれたことにとても励まされた。亡くなって本当に残念」としのぶのは、住民の岩下すみ子氏。

坂本氏は同紙の単独インタビューに、「一度決めたことを変えない公共事業の典型例」と疑問を呈し、この問題がわれわれに投げかけているものは何か、と記者から問われ、「たとえ13世帯だけだとしても、その小さな公共を守れなければ、大きな公共も守れないのではないか」と、答えたそうだ。

被災地の若者に希望を

「世界的音楽家の坂本龍一さんは病と闘いながら、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地に寄り添い続けた」で始まるのは、福島民報(4月4日付)の社説。

氏は、福島、宮城、岩手3県の若者で結成した「東北ユースオーケストラ」を代表・監督として率い、「練習では、技術のみならず音楽との向き合い方を教え、本県や東京で共演した際は満面の笑顔で一人一人の手を握った」そうだ。

「被災した方の心にあいてしまった穴を埋められるのが音楽やアートだ」「音楽やダンスがなければ、人類はこれだけ長くやってこられたでしょうか」との言葉も紹介する。

そして、亡くなる2日前の3月26日まで開かれた今年の公演をオンラインで見守り、出演者を「すごくよかった。みんなありがとう」とねぎらったとのこと。この濃密な時間が、「団員にとってかけがえのない財産になるだろう」と記している。

万感胸に迫るものあり。

社会・政治に参画するのは民主主義の基本

「反戦や脱原発運動に熱心に取り組むなど、音楽に生き、行動に生きた偉才」と、氏を称えるのは東京新聞(4月4日付)の社説。

社会に向けた発言や行動に注目し、「森林の保全や植林などを進める一般社団法人『more trees』の設立」、「論考集『非戦』の監修」、「脱原発運動」などを紹介し、「この国のアーティストには、社会的な発言をためらう風潮もある中で、その存在感は突出していた」とし、「残念ながら今年3月には作家の大江健三郎さんが他界し、そしてまた坂本さんを失った。この国の未来のために『反戦・脱原発』を訴えた二人をしのび、その遺志を受け継ぐ思いを新たにしたい」と決意表明。

毎日新聞(4月5日付)の社説も、「欧米ではアーティストの政治的発言は当たり前だが、日本では批判されることが少なくない。そんな風潮を意に介さず、『職業に関係なく社会・政治に参画するのは民主主義の基本』と語っていた」ことを紹介する。

「なぜ」原発に回帰する?!

今となっては、われわれに対する遺言とも言えるふたつのメッセージが坂本氏から発せられている。

ひとつは、「福島原発事故12年」に合わせて東京新聞(3月15日付)に寄せられたもの。注目したところは以下の通り。

「2011年の原発事故から12年、人々の記憶は薄れているかもしれないけれど、いつまでたっても原発は危険だ」
「なぜこの国を運営する人たちはこれほどまでに原発に固執するのだろう」
「わが国では、なぜ未完成で最も危険な発電方法を推進しようとするのか分からない」
「世界一の地震国で国民を危険にさらし、自分たちの首もしめるというのに、そこまで執着するのはなぜだろう」

このように、「原発は危険」であるにもかかわらず、原発回帰の姿勢を強める政府に対して、「なぜ」を連ねて迫っている。

樹々は万人に恩恵をもたらす

もうひとつは、東京都の小池百合子知事らに送った、明治神宮外苑地区の再開発の見直しを求める手紙である。

東京新聞(3月18日付)に掲載された、小池都知事宛ての手紙(要旨)で、注目したところは以下の通り。

「率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な樹々を犠牲にすべきではありません。(略)いま世界はSDGsを推進していますが、外苑の開発はとても持続可能なものとは言えません。持続可能であらんとするなら、これらの樹々を私たちが未来の子供たちへと手渡せるよう、現在進められている再開発計画を中断し、見直すべきです。東京を『都市と自然の聖地』と位置づけ、そのゴールに向け政治主導することこそ、世界の称賛を得るのではないでしょうか。あなたのリーダーシップに期待します」

さらに、同紙からの書面インタビューに対する坂本氏の回答で、注目したところは以下の通り。

「未来のことを考えた時、あの美しい場所を守るために何もしなかったのでは禍根を残すことになると思いました。後悔しないように陳情の手紙を出すことにしたのです」
「樹々は差別なく万人に恩恵をもたらしますが、開発は一部の既得権者と富裕層だけに恩恵をもたらします。そのためにかけがえのない樹木を伐採していいのでしょうか」
「私が生まれ育った大切な故郷である東京が美しく魅力的な場所であってほしい」

再開発の内容を承認し、計画実現のため建築規制を大幅に緩和し、事業の施行を認可したのはもちろん東京都。

にもかかわらず、小池都知事は、「明治神宮の私有地をめぐる開発の話」(3月3日の会見)、「事業者の明治神宮にも手紙を送られた方がいいんじゃないでしょうか」(3月17日の会見)と、まさに樹で鼻をくくる対応。まさに蛮人の代表。

「地方の眼力」なめんなよ

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