シンとんぼ(38)スマート農業は役に立つのか?⑫2023年4月8日
シンとんぼは、前回までに農水省ホームページに紹介されているスマート農業技術が本当に役立つものなのかを耕種農業に絞って検証してみた。その結果は、十分に活用が可能でスマート農業が目指すもの(匠の技伝承、省力化・効率化、収量・品質向上)を実現している技術から、もうひと工夫必要なものや、まだ初期段階のものまで玉石混合の感があった。
当分の間は、農家自身が自分の経営にプラスになるものを選んで導入することになるため、農家が導入検討を行いやすいようにスマート農業技術毎にその導入効果やコストなどに関する情報の整理が必要だ。情報の整理と発信については、国は当然行うであろうが、全農他JAグループからも現場の実際の使用事例に基づく情報の整理・発信をお願いしたいものだ。
さて、今回から畜産に使用されるスマート農業技術について検証してみようと思う。畜産関係のスマート農業技術の分類は、①センシング/モニタリング、②生体データ活用、③飼養環境データ活用、④自動運転/作業軽減、⑤経営データ管理の5つである。
それぞれの技術が、見回り、給餌、繁殖、搾乳、肥育、清掃、飼養管理、草地管理、畜舎建設といった畜産関連の作業や業務を単独あるいは複数でサポートする。当然、牛、豚、鳥といった畜種毎に管理方法が異なり、また、牛も豚もなど複数の畜種を営業飼育している畜産農家もほとんどいないことから、多くのスマート農業技術が畜種ごとに開発されているようだ。
それではまず、①センシング/モニタリングについて検証してみよう。
これは、導入することにより、効率かつ的確に状態に応じた世話を施せるようにリアルタイムな情報を提供するシステムで、畜体にセンサーを埋め込むなどして体温を計測したり、カメラで行動を観察したりして、繁殖時の兆候や栄養状態、健康状態などを生産者に教えてくれる。モニタリングシステムは、温度、湿度などを常に計測し、ストレスの少ない飼育環境を整えるのを手助けしてくれる。
これまでは目視管理しかできなかったために、いわゆる「寝ずの番」が必要だった分娩兆候や発情期の見極めといった作業から生産者を解放し、生産者のストレスを軽減してくれる。また、畜獣は環境に敏感でストレスによって体重が減ったりして品質にも影響があるため、自動でストレスの無い環境が整うのであれば、それこそ生産者のストレス減に役立つ。畜産労働は休みがとりづらく大変なものだけに、スマート農業技術はその軽減に大きな役割を果たしているようだ。もちろん、導入およびランニングコストについては、耕種と同様に十分に検討する必要はあるのだが、畜産の方が耕種よりも導入効果が大きいような気がするのはシンとんぼだけだろうか?
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