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「課題」は職員のプロジェクトチームで解決しよう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年4月11日

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「問題」と「課題」は違う? 一緒くたに考えない?

A・ライフ・デザイン研究所 代表 伊藤喜代次

駆け出しのコンサルタントの頃、「君は原稿書くの早いね」と褒められて、ずいぶん便利に使われていたが、この頃のレポート作成は勉強の絶好の機会だったように思う。編集記者の経験に加えて、数値化と数値分析、オーソドックスなフレームワーク、ビジネス上の多くのセオリーなど、先輩のコンサルの経験やアイデアなど、この頃の実学は職人の見習いのような修行時間だった。

数年は、何人ものコンサルのカバン持ちをしたが、一人の先輩から質問を受けた。「伊藤君、問題と課題の違いを説明してみてよ」。突然の質問にあたふたして答えることができなかった。というのは、問題も課題もとくに意識しておらず、明確な使い分けをしていなかったからだ。国語辞典で調べても、問題と課題の違いはよく分からない。しかし、ビジネスの世界では、明確な違いがある。さきの先輩は図に書いて、丁寧に説明してくれた。この図は、調製してJAの職員研修で30年余使っている。

文章で説明するは難しいが、ビジネス上の「問題」は、目標や計画、理想的な姿と、現状や現実とのギャップ(差)のことをいう。どんな問題を抱えているかは、目標や計画と現実との比較によって明らかになる。数値化すれば、具体的だ。誰にも分かりやすい。たとえば、直売所の1日平均来店者数の目標500人に対して、実際は平均で400人だったとすると、目標に対して、100人少ないのは「問題である」となる。これは、売上げ目標、出荷者手取り目標など、項目が多くすれば、いくつもの「問題」が発見できる。

さて、では「課題」は何か。上記の直売所において、来店者数を増やすためには、どんな対策を行うべきか。この対策、実行策のことが「課題」である。目標に対して100人少ない「問題」への有効な対策として、たとえば、キャンペーンの実施、割引セール、店舗レイアウトの変更、商品の種類増、価格見直しなど、アクションにつながること、施策が「課題」である。

「課題」の具体策の検討はプロジェクトチームで

「問題」と「課題」の違いを長々と書いたのは、JAとお付き合いして気づいたことだが、中長期の明確な目標を掲げているJAの役職員のみなさんは、JAの「問題」については把握している。理想的な事業や経営の目標に対して、何が「問題」か、何が目標と現状とのギャップが大きいか、目標が数値化されていれば、現状の数値と比較すれば「問題」は明確だ。はっきりしている。

ところが、この「問題」がなかなか解消しない。何年も引きずってしまう。「手を打たない」ために慣らされてしまい、難しい「問題」にしてしまう、という図式である。

では、なぜ「問題」が解決されないままに、難しい問題化してしまうか。「課題」としての検討や対策に取り組まない、手を打たないからである。「課題」を整理したり、どんな対策が有効か、思いつくままに「課題」を取り出してみて、優先順位をつけてみるといった取組みが不足しているのである。

「課題」に対して、会議を行うことはあっても、ほとんどは担当部署内部での検討に止まっているから、内輪の新鮮味のない対策で、結果的に、実効性や成果をしっかりと求めるものではない。周囲の部署の職員も、内容が知らされていないので、協力したり、アイデアを出したりもしない。これが事業を硬直化させ、問題を放置してしまう。

「問題」の発見、羅列化して、優先順位を検討し、その原因をつぶしていくアクションとしての「課題」を検討する。実効性の高い対策を、直ちに実行するというプロセスを常態化することが必要である。

この対策のポイントは、「問題」と「課題」の社会化である。社会化とは、組織内に「問題」を拡散、認知を広げることである。

「現場力」は、異なる立場の職員の知恵と行動力

結論からいえば、「課題」の検討を、担当部署以外の職員をメンバーとするプロジェクト型の会議体、チームを作って検討することである。この体制は、「課題」に対する客観性、視点や論点などの多様化がポイントだ。実効性の高い具体的な対策が生まれ、実行面での周囲の協力も得られることから、成果や実績も早い。

こうした部門を越えたプロジェクトチーム方式は、スピード感があり、会議も最低限の分かりやすい資料と時間で議論するから、着実な「課題」解決のための方法を具体的に提案できる。「課題」によって、組織全体が集中して行動する場合もあれば、個々の職員の行動に委ねる方法もある。こうすることで、「問題」を確実につぶしていく、結果が出なければ、すぐに別なことをやる体制だから、引きずらない。

当たり前の話だが、信用事業と共済事業でさえ大きな違いがあるし、ましてや経済事業や営農事業などとは、まったく事業内容も、事務的な決済も、組合員・利用者対応も異なる。違いがあるからこそ、多様なアイデアや提案が生まれるのである。

JAの本店や本部では、プロジェクトチーム方式で検討する場面もあるが、JAに必要なのは「現場の問題を解決する力」である。現場力を高めるために欠かせないのは、職員の理解と協力であり、アイデアと実行力である。

JAの職員は、それぞれ違った目線や考え方を持った、頼りになる職員同士なのに、お互いに信じ合っていないし、必要とし合っていないように見える。これは、速やかに改善してほしい。

JAの強みの一つが、総合事業、複合事業経営体である。それが、現場の実践で、まったく活かされていないのは、残念というしかない。

本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)より、『コラム名』を添えてご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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