「チャットGPT 」はチョットだけよ【小松泰信・地方の眼力】2023年4月12日
「ついにAIも別次元に到達したのではないかと感じたのだ。みなさんも一度『対話』して、わたしのショックを共有してもらいたいです」と記すのは、作家・高橋源一郎氏。(「サンデー毎日」4月9日号)
末恐ろしいチャットGPT
高橋氏のすすめに従い、早速ネットの無料版に「チャットGPTを簡単に説明する」を入力すると、「チャットGPTは、OpenAIが開発した大規模な言語モデルの一種であり、人間のようにチャット形式での対話ができるAIアシスタントです。(略) 様々なトピックやテーマに関する質問や情報を理解し、それに応じたストーリーを生成する能力を持っています(略)」などと、423単語による回答が現れる。
まさに優れもの。昨年11月に登場してこの水準だから、末恐ろしい。
末恐ろしさを感じているのは、「チャットGPT」などAIを用いた製品の基礎となるディープラーニング(深層学習)研究の先駆者であるヨシュア・ベンジオ教授(モントリオール学習アルゴリズム研究所)もしかり。
毎日新聞のインタビューに応じたベンジオ氏は、「AIが政府や企業などに悪用されることで人類を脅かす『核兵器』のような存在にもなり得ると懸念を示し、AI規制をめぐる『強い国際的な協定』で合意すべきだ」と訴える一方で、「教育や医療、環境などの分野での活用」を求めている。(毎日新聞4月11日付)
メガバンクが導入
日本経済新聞(4月11日17時配信)は、三菱UFJ・FG、三井住友FG、みずほFGが対話型AIを導入することを伝えている。
三菱UFJでは稟議(りんぎ)書の作成や社内からの照会対応などで対話型AIを利用していく方針。煩雑な業務の一部を対話型AIに肩代わりさせることで、生産性の向上に効果があるとみている。
三井住友FGは日本マイクロソフトと独自開発した対話型AIを行内業務に活用する実験を始めた。事務規定を調べる際に使うほか、取引先の基本情報収集など稟議書の草案作成への活用も想定する。
みずほFGもAIを使った対話型ソフトを社内業務に導入する方針。
いずれも、情報漏えい対策には万全を期すとのこと。
記事は、これら3メガバンクの動向を受けて、他の大企業にも導入を探る動きが広がる可能性があることを示唆している。
もちろん、企業だけではなく、至る所で活用されていくはず。
政府も活用を検討
毎日新聞(4月12日付)は、政府が、不適切なデータ収集などへの懸念の払拭を前提に、「チャットGPT」の国会答弁など行政分野での活用を検討していることを報じている。
河野太郎デジタル相は4月7日の記者会見で、「役に立つ部分は多く、懸念点がクリアされれば考えたい」と述べ、中央省庁での文書作成に生かせるかどうか検討する考えを示し、西村康稔経済産業相も11日、「国家公務員の業務負担を軽減するための活用の可能性は追求したい」と指摘し、国会答弁の作成を例示した。
4月29、30日に群馬県高崎市で開催予定の主要7カ国(G7)デジタル・技術相会合において、日本は議長国として、AIの有用性やリスクに関する議論を主導する考えとのこと。
でもね、当該ソフトよりも、公文書の改ざんや隠蔽を平気で行う政治家たちの方が極悪ですから。
悩み多い大学
西日本新聞(4月12日付)は、高等教育機関において当該ソフトの利用にどのように対応しようとしているかを報じている。
東大は、「リポートについては、学生本人が作成することを前提としている」と強調し、教員側はヒアリングや筆記試験を組み合わせて本人が作成したものかどうか確認する必要があるとした。
東北大は「AIの利用を完全に排除することは現実的ではない」としつつ、AIのデータに第三者の著作物が含まれていれば著作権侵害の恐れがあると指摘。
上智大は、リポートや論文について利用禁止を明確化し、使用が発覚すれば厳格な対応を行うとした。
甲南女子大の文学部メディア表現学科では、チャットGPTを活用して授業の進め方を考えるグループワークを計画している。そして、文部科学省は学校現場に注意点や有効な活用法を示す考えで、本年度内にも学校での取り扱い指針を作成。
判断を下すのは人間の英知
熊本日日新聞(4月11日付)の社説は、「高度情報化社会を豊かにするための技術が、人間を害するものであってはいけない。世界規模で進化を続けるAI技術に、社会の規範や倫理が追いついていない現状の方が問題だ」として、「法整備を含め、何らかのルールを考える時期が来ているのではないか。G7首脳会議(広島サミット)などでも、広く知恵を集めてほしい」と要望する。
さらに、「導き出される回答はあくまで『AIが確率的に正しいと判断した答え』だ。AIが学習するネット上の情報には、誤りや性別・人種などへの偏見も含まれる。説得力のある文章であってもフェイクだったり、差別的な記述が交じったりする可能性がある。回答も一つの情報に過ぎない。うのみにせず、自ら判断する主体性を持つべきだろう」と、主体的判断の重要性を訴える。
そして、「AI技術は『もろ刃の剣』だ。全てを禁じるのではなく、より良い活用のための道を探すべきだ。私たちはどんな社会をつくっていきたいのか。判断を下すのはAIではなく、人間の英知である」と締める。
あなたは何を付加するのか
農業やJAに関していくつかの質問をしてみた。常識的な、当たり障りのない回答であった。少なくとも、新しい、革新的な展開についての示唆は得られなかった。しかし、基本的な柱立てに沿って整理されており、スタートを切る段階では十分活用できる。「農ある世界」が求めているのは、それを踏まえたうえでの、明日のあり方である。農業・JA関係者が当該ソフトを活用するときに、そこに何を付加できたのか、そこが問われることを忘れるべきではない。チャットはチョットだけよ。
「地方の眼力」なめんなよ
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