シンとんぼ(41)スマート農業は役に立つのか?⑮2023年4月29日
シンとんぼは、前回より農水省ホームページに紹介されているスマート農業技術が本当に役立つものなのかを畜産関係技術について検証している。
畜産で使用されるスマート農業技術は、①センシング/モニタリング、②生体データ活用、③飼養環境データ活用、④自動運転/作業軽減、⑤経営データ管理の5つに分けられており、今回は④自動運転/作業軽減について検証してみる。
これも文字通り、自動給餌や自動給水、自動敷料散布機、パワーアシストスーツといった畜種の飼養時における重労働を軽減できる技術である。
自動給餌・給水は、①のセンシングなどと連携して、飼養効率のよい最適な給餌・給水を自動で行うもので、重労働な餌やり作業を大幅に軽減してくれる。自動敷料散布機は、畜種の居所の下にしく敷料(おが粉、戻し堆肥、バーク、籾殻など)を自動で散布してくれる機械で、畜種を移動させることなく自動で行ってくれるので、これも大幅な労力軽減に役立つ。パワーアシストスーツは、作業者の体に装着するだけで、重量物を持ち上げや中腰姿勢維持など作業時の身体への負担・疲労を軽減し、作業効率を向上させることができる。
このように、これらの技術は飼養の重労働から解放してくれるありがたい技術ではあるが、残念ながら、軽労化してくれるのは一部であって、全ての飼養作業を自動化しているわけではない。
全てのスマート技術がつながって、それこそ、仔の導入から出荷までといった飼育全段階の自動化され、それこそ、人間の出番は分娩と出荷の時だけといった風になれば、随分と畜産の様相も変わってしまうだろう。どこまで自動化すればいいのかは生産者毎に異なるだろうが、究極の形は、全ての飼養作業が全自動化された工場的なものになるかもしれない。もちろん、当分先になるであろうが、現在の畜産生産を維持するためには、そこまで行かないとならないかもしれないだろうなと思う。
しかし、そのようなシステムを導入するには、莫大な資金が必要であり、資本力のある企業が参入するぐらいしか道はないだろう。前回も書いたが、資材費高騰のあおりを受けた畜産家、特に窮状を訴える酪農家にとっては、新システムの導入は越えるに越えられない大きなハードルとなると思う。ほんと、畜産関係のスマート農業導入にあたっては、日本の畜産をどうしていくのか明確なビジョンを持った上で、それこそ国策として実行してもらいたいものだとシンとんぼは切に願いたい。
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米、稲WCSへの十分な支援を JAグループ2025年10月16日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】本質的議論を急がないと国民の農と食が守れない ~農や地域の「集約化」は将来推計の前提を履き違えた暴論 ~生産者と消費者の歩み寄りでは解決しないギャップを埋めるのこそが政策2025年10月16日
-
死亡野鳥の陰性を確認 高病原性鳥インフル2025年10月16日
-
戦前戦後の髪型の変化と床屋、パーマ屋さん【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第360回2025年10月16日
-
「国消国産の日」にマルシェ開催 全国各地の旬の農産物・加工品が集合 JA共済連2025年10月16日
-
静岡のメロンや三ヶ日みかんなど約170点以上が「お客様送料負担なし」JAタウン2025年10月16日
-
高齢者の安全運転診断車「きずな号」を改訂 最新シミュレーター搭載、コースも充実 JA共済連2025年10月16日
-
安心を形にした体験設計が評価 「JA共済アプリ」が「グッドデザイン賞」受賞 JA共済連2025年10月16日
-
東京都産一級農畜産物の品評会「第54回東京都農業祭」開催 JA全中2025年10月16日
-
JA協同サービスと地域の脱炭素に向けた業務提携契約を締結 三ッ輪ホールディングス2025年10月16日
-
稲わらを石灰処理後に高密度化 CaPPAプロセスを開発 農研機構2025年10月16日
-
ふるさと納税でこども食堂に特産品を届ける「こどもふるさと便」 寄付の使いみちに思いを反映 ネッスー2025年10月16日
-
「NIPPON FOOD SHIFT FES.」に出展へ 井関農機2025年10月16日
-
マルトモが愛媛大学との共同研究結果を学会発表 鰹節がラット脳のSIRT1遺伝子を増加2025年10月16日
-
マックスの誘引結束機「テープナー」用『生分解テープ』がグッドデザイン賞を受賞2025年10月16日
-
北海道芽室町・尾藤農産の雪室熟成じゃがいも「冬熟」グッドデザイン賞受賞2025年10月16日
-
夏イチゴ・花のポット栽培に新たな選択肢「ココカラ」Yタイプ2種を新発売2025年10月16日
-
パルシステムの奨学金制度「2025年度グッドデザイン賞」を受賞2025年10月16日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月16日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月16日