価格転嫁はお客さん失う【原田 康・目明き千人】2023年4月29日
農家の生産コストが軒並みに上がっている。肥料、農薬、燃料や家畜の飼料などの値段が上っており、このような状況の中で農家も先端の技術を取り入れて例えばスマート農業の様な生産コストを下げ、生産性を上げる等の努力をしている。
コストの増加分を農家が全部負担をしていては経営が成り立たなくなるので販売価格に転嫁をすることには一般論としては皆が認めることとなる。
価格への転嫁の結果がどうなるかを見てみよう。流通の中間では卸売業者から転嫁が支持されたとしてスーパーマーケットの様な小売店での商品の値段となり、また加工原料は最終製品の価格となってエンド・ユーザーとしての一般のお客の前に並ぶ。
一般の消費者であるお客もコストの転嫁ということには一般論としての理解はあるが、実際にスーパーでお客として買う時には自分のお金で払うので同じような物であれば安いものを週ぷ。
結果として高い商品は売れ残ることとなる。どの商品も安い輸入品との比較となる。
肉類の自給率は生産力ベースでは53%であるが輸入飼料分を差し引いたカロリーベースでは8%となる。
輸入飼料の中心はトウモロコシでこれの最大の輸入先はアメリカである。アメリカからは肉類も入ってきている。品質は国産が上であるが価格はアメリカ産は部位によっては半値である。
小売店や加工業者は次の仕入れの時には売れ残りの商品は注文をしない。野菜、果実、畜産物の流通は時の「相場」で動いている。相場は商品ごとに複雑な要因で作られる。コストの分を別枠で加えることは難しい。
農家からエンド・ユーザーである消費者までいろいろなルートの流通となるが取引の価格は売り手、買い手がその時々の商品ごとの「相場を了解して取引が成り立っている。
農業という産業は日本の食料、自然環境、地域社会の原点である。狭い農地と四季の制約の中で農家の努力だけでは限界がある。EUの各国を見るとそれぞれの事情を抱える中で自国の農業を維持することは安全保障上不可欠の要素として農家への所得補償方式を国の政策としてやっている。
日本も個別の補助政策の他に農家が農業を続けられる様に農家への所得補償の政策が必要である。
(原田 康)
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