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世を襲う政治家たち【小松泰信・地方の眼力】2023年6月7日

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「6月3日、名古屋市が主催した市民討論会で、複数の人物が『差別的発言』を行い、物議を醸しています」で始まるのは、FNNプライムオンライン(「めざまし8」6月6日放送、同日17時22分配信)。

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復元するのは天守閣と「差別の構造」

討論のテーマは、「名古屋城の天守閣の復元におけるバリアフリーについて」。

名古屋市は、より忠実な復元を目指す新たな木造の天守閣には、現在設置されている「エレベーター(5階まで)」は設置せず、車いす利用者と介助者が利用できる「小型昇降機(1階から2階まで)」を導入するとしていた。

討論会に参加した車椅子の男性は、エレベーターを排除することは、「障害者が排除されているとしか思えない」と主張。

この主張に対して、エレベーター設置反対の男性ふたりから、次のような発言があった。

「平等とわがままを一緒にすんなって話なんですよ。エレベーターも電気もない時代に作られた物を再構築するっていう話なんですよ。その時になんでバリアフリーの話が出てくるのかっていうのが荒唐無稽で。どこまでずうずうしいのって話で、我慢せえよって話なんですよ、おまえが我慢せえよ」

「生まれながらにして不平等があって平等なんですよ。(差別用語)で生まれるかもしれないけど、健常者で生まれるかもしれない、それは平等なんですよ。どの税金でメンテナンス毎月するの?そのお金はもったいないと思うけどね」

驚きを禁じ得ない発言。さらに驚いたのは、会場の一部からは拍手すらあったこと。

金メダルに小汚いよだれを出してかじりついた河村たかし市長にかかれば、「熱いトークもあってよかった」となるようだ。

市長は5日の定例会見で、この差別的発言を問われて、「いろんな意見が出てくるのは当たり前のこと、それを禁止することは恐ろしいこと」と話している。

到底看過できないはずの差別発言もひとつの意見と認知し、「それを禁止することは恐ろしいこと」とするその思考回路の方がどれほど恐ろしいことか。「仕込み」の可能性すら否定できない状況である。

差別発言を浴びせられた男性は、「めざまし8」の取材に対して、「今まで生きてきて、ちょっとやそっとの事では、死にたいとか、逃げ出したいとか思ってないですけど、公衆の面前であれを言われたのは...本当に死にたかった。主催しているのは名古屋市なのに、あんな差別的発言だとか、ずれたことを言っているのを止める人は、一人もいませんでした」と語っている。

名古屋市が、天守閣とともに、さまざまな「差別の構造」まで忠実に復元しようとしていることがよく分かる事件である。

「ぼっち上等!」の心意気

毎日新聞(6月7日付)によれば、米国の進歩派的な活動家で哲学者のコーネル・ウェスト氏(70)が、2024年大統領選に立候補するとのこと。氏は、ツイッターに投稿したビデオで「この殺伐とした時代に、私は真実と正義のために、『人民党』の候補者として米大統領選に出馬する形を取ることにした」と語り、民主、共和の2大政党について「どちらもウォール街、ウクライナ、ペンタゴン(国防総省)、ビッグテック(巨大IT企業)について真実を語ろうとしない」と批判した。

ウェスト氏は16年と20年の大統領選では、民主党の指名候補争いに立候補した「民主社会主義者」を名乗るバーニー・サンダース上院議員(無所属)を支持。サンダース氏の16年の選挙に携わったスタッフが17年に設立したのが人民党である。

メディアは、オオタニさんもフジイくんもほどほどにして、宗主国のこのような動き、すなわち真実を報道すべきである。

信濃毎日新聞(5月30日付夕刊)で内田樹氏(武道家・神戸女学院大学名誉教授)は、若い人から「生きてゆく上で一番たいせつなことは何ですか」と訊(き)かれたら、最近は「勇気」と答えることが多い、と記している。

氏によれば、勇気とは、「自分が『正しい』と信じたことについては周囲に同意してくれる人が一人もいなくても『正しい』と言い続けることである。孤立に耐えること」だが、「現代日本社会のように共感が病的なまで過剰に求められる社会では勇気の居場所はない」「自分の信念を貫くためには勇気が要る。孤立を恐れない強さが要る。しかし、今の日本社会では群れからはぐれ、孤立することを恐れる気持ちがむしろ社会人の標準仕様になっている」と、世情を冷静に分析する。

その上で、「群れ全体が間違った方向に進んでいる場合でも、『これ、行く方向が違うよ』と言ってくれる人が誰もいない集団に生き延びるチャンスはあるだろうか?」と問いかけている。

政治家の世襲化を阻止する

「首相が政務秘書官に起用していた長男の更迭に追い込まれた」で始まるのは、青木理氏(ジャーナリスト)による「抵抗の拠点から」(『サンデー毎日』6月18日号)。

氏は、「世襲政治家とはある意味で究極の既得権益者である。『地盤、看板、カバン』を先代から継ぎ、基本的にはそれを守ることに汲々とする者たちであって、そもそもが自らの志を持って政治を目指したわけではなく、為政者としての自身の基盤となる既得権を掘り崩してまで政治や社会の立て直しに取り組むはずがないし、取り組めるはずもない」とする。

そして、間違いなく安倍昭恵氏を指すが、彼女は青木氏のインタビューに対して、「私たちも世襲議員として票をいただいてきたので、軽はずみなことは言えないのですけど。いまの仕組みでは、普通の人が政治家になりたいと思っても簡単にはなれない。もう少し、志のある人が、政治家になりやすい仕組みを作るべきだと思っています」と吐露したそうだ。

青木氏は、「この点について彼女の指摘は完全に的を射ていた。三代世襲である夫に、そもそも『志』などなかったということも含めて」と締めている。

辞書を引くと、「世」には、世間、現実社会、という意味の他に、「ある支配者が治めている期間。また、同一系統の者が政体を維持している期間」と記されている。「襲(おそ)う」の4番目には「地位や名跡を受け継ぐ。跡を継ぐ」と記されている。

まさに「支配者として既得権益を受け継ぐ」のが世襲政治家。支配者家系としての歴史が長いほどこの既得権益の恩恵にあずかろうとする者は多くなる。彼ら彼女らが期待するのは、自分たちの既得権益を守り抜く「志」と「勇気」だけ。

そのような世襲政治家に、「公」人としての立ち居振る舞いを期待するのはないものねだり。

しかしそのような政治家は、現実世界を不意に攻め害を及ぼす、文字通り「世を襲う」政治家でもある。

だとすれば、本家世襲政治家の他にも、差別の構造を復元させようとするなどによって「世を襲う」政治家のなんと多いことか。

二重の意味を有する政治家の世襲化を阻止しなければならない。たとえ自分ひとりになったとしても、「勇気」を振り絞って。

「地方の眼力」なめんなよ

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