シンとんぼ(48)食の安全とは(6)毒性の強弱について2023年6月17日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということを検証しようと試みている。現在、「毒性とは何か」をテーマにすえており、今回も毒性の話をしており、前回「毒性」を調べるために行われている試験をご紹介した。これは、科学的に毒性をみてみたらどうかということで、数値化されている題材をもとに考えるためだ。
今回は、毒性の強弱を示すための数値だ。毒性の強弱を計る場合には、経口の急性毒性で示されることが多い。その時に使用されるのが、前にも紹介したLD50だ。少し復習すると半数致死量と呼ばれる値でmg/kgという単位で示され、体重1kgあたり○○mgを一度に口から摂取すると、急性中毒を起こし、半数が死ぬというものだ。つまり、○○にあたる数値が小さい物質ほど、少ない量で半数が死んでしまうことを意味するので、LD50が小さい物質ほど毒性が強いということになる。それにしてもなんで半数なんだろうか? 毒性の強さを表すなら、LD100(100%致死量)とかLD90(90%致死量)とかの方がいいんじゃないだろうかと思う方も多いんじゃないだろうか?
シンとんぼも詳しくはわからないが、90%とか100%とかでは個体差が大きくなり過ぎて毒性を比較する数値としては信頼性が低くなるからだそうな。個体差って何かっていうと、もともと化学物質に敏感で少量で直ぐに死んでしまう個体と、もともと化学物質に強い個体がいて、弱い個体の3倍の量でも死ななかったりすることを指すとのこと。これだけ値がふれると統計的な有意差を算出できないことになり、毒性を評価する数値としては使えないからだ。
それが、半数致死量であれば、個体差による振れが少なくなり、毒性の強弱が有意な差がつくデータとなるのだそうだ。ともかく毒性の差を数値で表す時は、LD50(mg/kg)が使われているってことを覚えておいてほしい。LD50のことが復習したところで、身近な物質での経口急性毒性を比較してみよう。
ラットを使用した経口急性毒性データで各物質のLD50(mg/kg)を比較してみると、砂糖が29,700、エチルアルコールが7,000、食塩が3,000、アスピリン(医薬品)が1,000、カフェインが200、ニコチンが50となっている。このように物質の毒性の強弱は、数値化してみると良く分かる。こんな話を初めて聞かれる方は、「砂糖は食品だけどちゃんと毒性があり、普通に口にするカフェインは医薬品のアスピリンより毒性が強い」というと一様に驚かれるようだ。
次回はこの辺をもう少し深堀りしてみよう。
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