シンとんぼ(50)食の安全とは(8)ガンの原因は?2023年7月1日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということを検証しようと試みている。現在、「毒性とは何か」をテーマにすえており、毒性を科学的にとらえて身近なものと比較しながら毒性を考えている。前回、身近なもので経口急性毒性を比較し、農薬ほど毒性や人畜への影響が分かっている物質はないといえるのではなかろうかと結んだので、今回は、毒性が分かっていない物質とは何かということを考えてみたい。
農薬工業会様のHPに、ガンの原因となるものが何かを一般の主婦とガンの疫学者の考えを比較したデータが紹介されているのでそれを引用してみる。これによると、一般の主婦がガンの原因と考えているのは、1位:食品添加物(43.5%)、2位:農薬(24%)、3位:タバコ(11.5%)、4位:大気汚染・公害(9%)、5位:おこげ(4%)、6位:ウィルス(1%)であったのに対し、ガンの発生要因研究の専門家であるガンの疫学者は、1位:ふつうのたべもの(35%)、2位:タバコ(30%)、3位:ウィルス(10%)、4位:性生活・出産(7%)、5位:職業(4%)、6位:アルコール(3%)であった。
ガンの疫学者は、ガンの原因を追究する専門家であって、少なくとも一般の主婦よりもガン発生のメカニズムや要因をよく理解しておられる方と言える。この専門家が指摘するガンの原因1位はふつうのたべものであり、これは主婦の回答には名前すら出てこなかった。このことはつまり、ふつうの食べ物の中には、ガンを引き起こす可能性のある物質は普通に含まれており、それらがガンの原因の1位になり得ると専門家はみているということになる。実際に普通の食べ物の中には数えきれないほどの物質が含まれており、そのうち含まれる栄養素の研究は多くあるが、害を為す恐れのある物質については不明なままであることの方が多い。
このことは、毒性不明=毒性無し、あるいは口に入れて害の無いものであれば毒性は無いものだと判断していることのような気がする。この証拠には、主婦の考える原因の2位が農薬であるのに対し、ガンの疫学者は選択肢にも出てこないことがあげられる。
いずれにしても、この辺の誤解はきちんと国が率先して国民に理解してもらうように努めないと、これから来る食料難の時代に対応できなくなるんじゃなかろうかとシンとんぼは心配している。
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