ホップ・カラハナソウ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第247回2023年7月13日
話はちょっと戻るが、前回私の書かせてもらった記事を読んだ私の農大時代の教え子で今医薬関係の仕事をしているOA君が「7月6日の日経朝刊に桑に関する記事が掲載されていた、参考になれば」とその記事を私にメールしてくれた。
早速読ませてもらったら、何と、最近若い女性の間で桑の苗木を買ってきて育て、桑の実のジャムをつくるのが流行しているとのことである。
驚いた、こういう形で桑の木が生き残ろうとしているとは。さすが二千年この国で君臨してきた桑の木だけある、たいした生命力、褒めてあげたい。子どものころつくるのに失敗した桑の実ジャム、思いも残っているし、仙台で売られるようになったら早速食べてみようと思っている。
さて、話を進めよう。
もう夏。ビールがうまい季節となった。などとよく言われるが、最初飲んだときはただただ苦く感じただけ、何でこんなものがうまいのかと思ったものだった。ところがある暑い夏の日、その冷たい苦みが無性に飲みたくなった。そしてその日からビールをうまいと思うようになり、ビールファンとなったのだが、その苦みがホップから得られるのだということを知ったのは、戦後数年たったころ、私が中学生のころだった。田んぼに手伝いに行ったとき、隣村の農家が桑畑をやめてつくり始めたホップ畑を遠くから見、その花がビールの味付けに使われるのだと父に教えてもらったのである。
それから10年近く経った1961(昭36)年、まだ大学院生だった私が農村調査で山形県内陸北部の畑のなかを歩いていたとき、そのホップが栽培されているのを見つけた。そこで、調査の手伝いにきてもらっていた鳥取出身の後輩院生に、ホップ畑を指してあの作物は何かわかるかと聞いてみた。そしたら「ナガイモかな、それにしては背が高すぎるしなあ」と首をかしげる。
わからないのは当然だった。当時は北海道と山形で栽培されている程度だったからである。だから私は知ってはいたのだが、私もビールに使うホップの実それ自体を見たことはなかった。栽培している農家が近くにいなかったからである。
初めて見たのは、1966年、出羽三山の最高峰・月山の麓にある山形県西川町の調査のときだった。ちょうど収穫の時期だったので、成熟した花をじっくり見ることができたのである。
その時ふと思った、前にこの花をどこかで見たことがあると。
そうだ、登山のために山寺村(現・山形市、松尾芭蕉の『奥の細道』の「閑かさや岩に染み入る蝉の声」で有名になった村)の峠道を歩いていたとき、道ばたの草むらのなかにあったものだ。
でも私の見間違いかもしれない。そこでその話を山寺村生まれの母にしてみた。そしたら、それは間違いなくホップだ、小学校の行事で上級生全員が山麓に行って野生のホップ摘みをさせられたものだったと言う。
栽培しているホップの種子でも落ちて野生化したのだろうか。それともそもそも日本にホップがあったのだろうか。不思議に思って調べてみた。
あった。ホップの近縁種のカラハナソウという植物が北日本に自生しているというのである。栽培しているホップは西洋から持ってきたもので、セイヨウカラハナソウというのだそうだ。とすると、ビール会社に売るために学校はカラハナソウ摘みを学校行事としてやらせたのだろうか。でもちょっと考えにくい。漢方薬の材料にもなるそうなので、もしかしたらそれを採って製薬業者に売り、学校の備品等の購入資金とするためなのかもしれない(私たちはそのためにイナゴ取りをやらされたものだが、ここは山間地帯なのでカラハナソウだったのだろう)。母は何のために採らされたのか記憶にないと言うのだが。
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