シンとんぼ(57)食の安全とは(15)2023年8月26日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということを検証しようと試みている。
前回まで、「毒性とは何か」をテーマにすえており、毒性を科学的にとらえて身近なものと比較しながら毒性を考えてきた。「毒性」とは「あるなし」ではなく、「強弱」でとらえなければならないことを繰り返してきたが、では「強弱」は何をもとに量るのだろう。また、何をもって「安全」といいきるのだろう。ここが、「農薬は正しく使えば安全だ」VS「農薬は毒だから使ってはならない」論争がいつまでたってもケリがつかない理由なんだろうな。なぜなら、「絶対的な安全」を証明するのは、とても難しいことだからだ。
これまでも紹介したことがあるが、農薬の安全に関する様々な基準って、ラットやマウス、ウサギ、イヌなど実験動物の尊い命を犠牲にして得られたすべての毒性試験(慢性毒性試験、発癌性試験、生殖・発生毒性試験、免疫毒性試験など)の結果を比較検討して、どの毒性試験でも悪影響が認められない無毒性量(no observed adverse effect level:NOAEL)を求めることから始まる。
実施される毒性試験とは、急性毒性試験(薬剤が一時的に体内に多量に取り込まれた時の毒性を調べるために、経口、皮膚吸収、呼吸による取り込みについて試験する)、亜急性毒性試験(薬剤が1~3か月の期間、継続して取り込まれた時の毒性の性質や強さを、経口、皮膚吸収、呼吸による取り込みについて試験する)、慢性毒性試験・発癌性試験(薬剤が長期にわたり継続して取り込まれた時の毒性や発癌性をラットやマウスを用いて一生涯に当る期間を連続投与して試験する)、催奇形性試験(ネズミ・ウサギを用いて、妊娠中の母体がその薬剤に反復して暴露された場合の胎児に奇形をおこす性質がないかなどについて試験する)、繁殖試験(繁殖能力に対する悪影響や胎児の発育や出産後の成長に及ぼす影響がないかを実験動物の二世代以上にわたって連続投与して試験する)、変異原性試験(薬剤がDNAに影響を与え、遺伝子の突然変異や染色体異常などを起こす性質がないかどうかを試験する)、代謝試験(薬剤が体内に取り込まれた時、体内での薬剤の変化、吸収率、主要臓器への分布、代謝経路、体外への排泄などについて試験する)といったものだ。
次回、これらのデータの取り扱い方をもとに毒性について掘り下げてみようと思う。
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