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JAの「組織価値」を高める女性活躍の職場をつくろう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年9月12日

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女性スタッフの組織内ポジションは確実に上がっている!

A・ライフ・デザイン研究所 代表 伊藤喜代次

コロナ禍前の話だが、ある小売りチェーン店の調査、コンサルでのデータ分析検討会議。この会議への参加スタッフは24人、このうち女性スタッフは7人だった。実は、他の業態でも、30歳代の中堅スタッフが参加する会議では、女性の参加割合は2割から3割程度が一般的で、共通している印象だ。会議招集者がこの男女比を意識しているわけではないはずである。

JAでも、中期計画策定プロジェクトチームや現場リーダー会議などをみても、女性スタッフの割合は多くて3割であり、だいたいは2割程度である。

先のチェーン店でのデータ分析検討会議での発言者数をカウントした。それによると、発言者数(重複者もカウント)の男女比は、男性47%、女性53%。だが、女性の人数が少ないので、積極的に発言するのは女性ばかりという印象である。しかも、会議のテーマに対して、しっかりコミットした発言は女性に多い。データを活用した説明や目標・方針とのギャップなど、ポジティブで建設的で、しかも、他の出席者の意見を呼び込む発言が多いことは高く評価できる。

ここからは、少し公平性を欠き、女性びいきになるかもしれない。これに対し、男性の発言の少なさは、象徴的である。資料をパラパラ見ていて、様子見のような態度、なかなか発言しない。一部に、適格で的を外さない前向きな発言もある反面で、意見はデータの結果、評価に止まり、体のいい疑問形の意見を表す傾向が見える。他の出席者の意見を引き出すことはなく、いわば、当たり障りのない発言が多い。会議前に資料を読み込み、準備が不十分なことの方が問題かもしれない。

こうした傾向が一般的かどうか、自信はないが、象徴的な会議風景で記憶している。少なくとも、20年前であれば、こんな会議の状況を見ることがなかったろう。この10年あまりで、女性は社会進出ばかりでなく、企業組織内での総体的なポジションを急速に上げている、ということではないか。

JAは地域の大企業、めざせ「模範的なリーダー組織」

私のような感想を持つコンサル仲間は多い。たぶん、一般の企業だけでなく、行政機関でも同傾向なのだろう。私の仕事先で多いJAの職場でも、最近は、同じような傾向にあると感じているがどうか。こうした会議の状況や変化を経営者が見て、感じてもらえれば、女性管理職の割合は間違いなく上昇するはずだ。

企業の雇用における男女の均等な機会・待遇の確保を目的とした男女雇用機会均等法が制定されたのは1985年(昭和60年)。その後、法制度の成果が乏しいなか、改正が繰り返された。しかし、「2020年に企業の管理職を30%にする」という35年前の政府目標はまったく達成されなかった。そこで、2015年には、働く場面で活躍したい希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現する、と女性活躍推進法が制定される。

しかも、従業員数が101人以上の企業は、法の趣旨にもとづき、職場環境を整える義務があり、自社の状況を認識し、改善点については、目標としてクリアすべき具体的な数値を設定し、公表する義務が課せられているが...。ほとんどのJAは大企業であり、101人以上の従業員を抱えている地域の模範的ともいえる組織である。具体的な数値目標を設定し、取り組んでほしい。しかも、組織の地域エリアが限定されて、人の組織であるから、取り組める条件を持っている。ここまでくると、やるかどうかの経営者の意思ではないかと思う。

知恵を絞ろう、女性管理職が増えない理由の克服法

帝国データバンクの「女性登用に対する企業の意識調査」結果(2022年、15,000社)によれば、管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は平均で9.4%、企業規模別では平均12.5%の「小規模企業」が最も高く、「大企業」は6.8%。この調査で、自社の女性管理職割合は、今後「増加する」と答えた企業は32.4%、「変わらない」は42.9%だった。この先も、女性活躍の道は険しいようだが。

女性管理職比率が増加しづらい要因は何か。言い古されていることではあるが、最大の要因は、女性には、家事や育児の負担があることだ。ところが、地域が限定されているJAであれば、遠距離職場にならない配慮や時短勤務制度、一時的な職場離脱など、職場内の協力体制で改善できる余地は小さくないはずだ。また、組合員や女性組織の知恵も借りる応援団もいる。地域の学校関係やNPO(非営利組織)などと協力し合うことも考えれば、克服できる可能性は高いように思う。

簡単な話ではないことは承知しているが、JAが本気で取り組む姿勢に転換すれば、可能な環境や条件をもっている組織である。女性職員の活躍の場の拡大、能力の発揮をめざしてほしい。JAの問題に収斂しないで、活力あるJA事業と組織のために、そして、JAの「組織的価値」を高めるために、前向きな成長機会の実践を最優先にした意思決定を期待したい。

JA事業は、農業振興事業と、生活基盤事業(信用・共済・生活経済・福祉・直売など)の二の柱をもっている。後者は、いわば「暮らしのソフト事業」だ。男性よりも女性に適した事業であり、職場である。店舗の窓口や訪問での相談には、家計管理や家庭経営の目線で、親切に丁寧に対応できる女子職員は貴重な信頼できる戦力だ。

何としても、JAが「地域で一番の女性活躍の職場」をめざしてほしい。ちなみに、誤解がないように願いたいが、私は優秀な女性の営農指導員を数多く知っている。そして、農畜産物の販売担当として辣腕を振るう素晴らしい女性職員も知っている。

本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)より、『コラム名』を添えてご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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