シンとんぼ(64) 食の安全とは(22)化学農薬低減目標に思う2023年10月14日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということの検証を試み、「毒性の強弱を示す根拠」の検証のため、現在の安全の証明がどのようになされているのかを探ってきた。
それによって分かったことは、「食の安全」を示す根拠は、動物実験などによって得られたデータに基づいて、毒性学の専門家を中心とした審議会が「この水準であれば、恐らく人畜への健康被害は出ないだろう」と決定したものであるということだ。
なので、どこまで行っても「絶対安全」と言い切れないところが、食の安全を議論することの難しさではあるのだが、逆説的に言えば有機農産物等の農薬を使わずに生産した農産物が「絶対安全」と言い切れないことも事実である。前回も述べたように、安全・安心とは心情的なものに支配されており、どんなに動物実験で根拠のある数値を積上げたとしても、「絶対」というものには到達しないだろう。
そこで、「みどり戦略」の化学農薬に関するKPIを思い出してほしい。それは、2030年までに化学農薬の使用量(リスク換算量を10%削減、2050年までに50%削減というものであった。このKPIは、「化学農薬は環境や食の安全に影響のあるにも関わらず、日本は使い過ぎているから使用量を減らさなければならない。」と言っているのと同義である。
そもそも農薬は、温暖で湿潤な日本の気候において多発する病害虫雑草から国民の大切な食料である農産物を守り、安定的に生産するために使うものだ。そのために、多くの試験をして、環境影響が無く、人畜にも影響の出ない安全で正しい使い方を定め、安全な農産物を生産できるように農薬登録制度があるのだ。この厳しい登録制度のもと安全性をクリアしたものだけが認可され、それを正しく使っているのに、何で減らさなければならないのだろう。大いに矛盾していると思うのはシンとんぼだけではないと思うがどうだろう。
このあたりの意見や質問は「みどり戦略」以降、生産者等からもぶつけられているはずだが、未だに明快な回答は国からは無い(シンとんぼが知らないだけかもしれないが・・・)。
もともと環境影響がなく、安全性に問題無いとされている登録農薬を10%削減したら、環境にどんな変化があるのだろう?ましてやそれをさらに50%まで削減した時にどんないいことがあるのだろう?本当に教えてほしいものだ。
効果のある農薬が減らされて病害虫雑草の被害が増加し、農産物の生産量が落ちてしまったら、食糧自給率向上など遠い夢となると思うのだが、その辺はきちんと考えてくれているのだろうか?
重要な記事
最新の記事
-
埼玉県内で鳥インフルエンザ 国内11例目2024年11月25日
-
【JA部門】全農会長賞 JA山口県 「JAならでは」の提案活動で担い手満足度向上 TAC・出向く活動パワーアップ大会20242024年11月25日
-
5年ぶりの収穫祭 家族連れでにぎわう 日本農業実践学園2024年11月25日
-
鳥インフル 米イリノイ州、ハワイ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月25日
-
「JA集出荷システム」と生産者向け栽培管理アプリ 「AGRIHUB」をシステムで連携 農業デジタルプラットフォームの構築目指す JA全農2024年11月25日
-
卓球世界ユース選手権 日本代表を「ニッポンの食」でサポート JA全農2024年11月25日
-
佐賀県産「和牛とお米のフェア」みのる食堂三越銀座店で開催 JA全農2024年11月25日
-
JA全農×農林中金「酪農・和牛の魅力発信にっぽん応援マルシェ」新宿ルミネで開催2024年11月25日
-
EXILE NESMITH監修 くまもと黒毛和牛『和王』の特別メニュー提供 JA全農2024年11月25日
-
「第1回全国冷凍野菜アワード」最高金賞のJAめむろなど表彰2024年11月25日
-
「熊本県産和牛とお米のフェア」大阪の直営3店舗で12月1日から開催 JA全農2024年11月25日
-
都市農業・農地の現状と課題 練馬の野菜農家を学生が現地調査 成蹊大学2024年11月25日
-
食育イベント「つながる~Farm to Table~」に協賛 JQA2024年11月25日
-
薩州開拓農協と協業 畜産ICT活用で経営の可視化・営農指導の高度化へ デザミス2024年11月25日
-
「ノウフクの日」制定記念イベント 東京・渋谷で開催 日本農福連携協会2024年11月25日
-
省スペースで「豆苗」再生栽培「突っ張り棒」とコラボ商品発売 村上農園2024年11月25日
-
在ベトナム農業資材販売会社へ出資 住商アグロインターナショナル2024年11月25日
-
楽粒の省力検証 水稲除草剤の散布時間の比較 最大83%の時間削減も 北興化学工業2024年11月25日
-
【人事異動】北興化学工業株式会社(12月1日付)2024年11月25日
-
幼稚園・保育園など996施設に「よみきかせ絵本」寄贈 コープみらい2024年11月25日