続・ハロウィンと「チャセゴ」【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第261回2023年10月19日

前回登場いただいた居酒屋の亭主Aさんによると、「チャセゴ」に参加した子どもの数は十数人、最高年齢は十歳くらい、青年団の人が一人付き添って誘導してくれたとのことである。灯りはみんなそれぞれ自分でつくった、灯りを手で持つための細長い棒・板を10センチ四方の板の真ん中に釘で打ち付け、その釘に蝋燭を挿して火をつけ、その火が消えないように周りを白い紙で覆ったものだったと言う(そう言われれば私の故郷の山形でもそのような灯りをつくってともした、それでようやく思い出した)。
なお、萱場君の住む町の場合は、たまにお菓子をくれない家があり、するとその家の前で次のように囃したという。
「ぜになし かねなし たからなし
こっつのだんなさん すわっぴり」
Aさんの地域ではどの家でもみんなお菓子をくれたのでそんな歌を歌った記憶はないとのことである。なお、「すわっぴり」は仙台語で、「けちんぼう」のことを言うのだそうだ。
ところで仙台のこのチャセゴ、戦後十年くらい経ったころから廃れてしまったという。
「子どもに『物乞い』のまねをさせるのは教育上よろしくない」という意見が広まったことかららしい。教育ママのハシリだったのか、戦後流行った『お富さん』(注)の唄を禁止するような教育界のせいなのかよくわからないが、ハロウィンだって物乞い、親が喜んでアメリカの「物乞い」の真似をさせているではないか。
ところがそうした行事には日本の教育界は文句を言わない。何故なのだろうか。アメリカなど欧米の行事や物乞いは教育上よいが、日本の物乞いは、昔からの行事はだめだということなのだろうか。
日本の親バカ、教育ママには本当に困ったものである(こんなこと言ったら苦情がくるかな)。
そうしたなかでもチャセゴを残してきた地域が仙台市の西部の農村地域に残っているそうだ。しかし過疎化・少子化の進む地域、そこにコロナ騒ぎ、もうなくなっているのではなかろうか。
他方で、わが国のハロウィンは子どもの行事ではなく、若者のやる行事に変わってきたようだ。若者の子ども帰り(幼児退行)が進行しているからなのかどうかわからないが、10年くらい前からではなかったろうか、若者が池袋に集まってコスプレなるものを見せ、見るハロウィン=無秩序の「仮装集会」が開かれるようになり、その参加者と見物客で大いに賑わうようになってきたのである。
そして大量のゴミ、缶、ビンの投げ捨てだ。
それを拾い集め、清掃してくれるボランティアの活動が評価されているが、そういう人たちに犠牲を負わせている見物人を含む参加者は、それをどう思っているのだろうか。
なぜかそれは韓国でも同じだった、そしてソウルの繁華街・梨泰院に集まってコスプレを見せ、見るハロウィンなる「漫画アニメ仮装見せっこ集会」が開かれるようになった。その結果の一つが昨年の大混雑、そして大規模な人身事故の発生だった。
なぜこんなにハロウィンなる「仮装集会」が日本や韓国で人気を博しているのだろうか。クリスチャンの国でもないのにである。
そしてまたそれ以外の国々の若者がそれに参加すべくなぜ日本に集まってくるのだろうか。自分の国なら恥ずかしくてできないが、日本なら友人知人もいないので恥ずかしくない、「旅の恥はかき捨て」、よし、日本に行って自国ではできないことをやってこよう、こういうことなのだろうか。よくわからない。
何かおかしい、世の中何かねじ曲がっている、こんな風に考えるのは私がおかしいからなののだろうか。新しいことに対応できない年寄りの単なる愚痴でしかないのだろうか。
それはそれでこれまた困ったもんだ。
さて、今年のハロウィンももうすぐ、コロナも心配なさそう、はたして日本・韓国での半大人のハロウィン集会はどうなることやら。
(注)作詞:山崎正 作曲:渡久地政信 1954(昭29)年。
「粋な黒塀 見越しの松に 仇な姿の 洗い髪 死んだはずだよ お富さん(以下略)」、調子がよくて明るく、戦後の暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれるよう、子どもたちも喜んで歌ったものだった。
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