シンとんぼ(66) 食の安全とは(24)人為的ミスによる農薬残留2023年10月28日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということの検証を試みている。
農薬は定められたとおりに正しく使用すれば、残留基準値を超えて残留することはなく、環境影響もほとんどない。農薬取締法で農家の遵守事項を定められており、それを守らないで農薬を使用した場合、罰則規定のある農薬取締法違反となる。そのため、農家が意識して使用方法の制限を超えて使用することはなく、また、万が一のために、ほとんどの販売農家は散布記録(防除日誌等)を残し、いつでも正しい散布の証明をできるようにしている。
では、そのように正しく使用しているはずなのに、農薬残留超過事例が毎年発生するのはどうしたことか?
それは、うっかりミスや管理不足といった人為的ミスによるものがほとんどだからだ。
起こり得る主なミスとは、希釈倍数間違いや計量ミス、ストレーナの洗浄不足、ホース内の洗浄不足といったものがあげられる。希釈倍数間違いは慣れで起こることが多い。
例えば、普段使用している農薬が1000倍希釈であるため、いつもと違う作物に使用する場合、うっかりいつものくせで薬剤を用意してしまい、誤った濃さで散布してしまうケースがある。
単純なミスと言えばそれまでなのだが、無理もない話でもあるのだ。なぜなら、農薬の使用方法というのは、有効成分の性能や散布する作物の残留性の関係からいくつもの方法があり、共通の使い方というのは、「所定の希釈倍数・所定量を散布する」ということぐらいで、使い方は農薬によって異なることが多いのだ。
なので、農薬の使用者は、ラベルをよく読んで使用方法を正しく把握し、正しく使用するよう細心の注意を図りながら作業を進める。
いつも同じ農薬なら、慣れているので間違いが起こることはないが、違った倍数や違う農薬を使用する場合には、つい慣れの方が優先し、うっかりミスが起こってしまう場合が稀にあり、それが原因で残留基準を超えてしまう場合があるのだ。
ただ、実際にはどんな残留基準超過事例であっても、これまで紹介してきたように人畜への安全性に対して必要十分以上のマージンがとってあるので、直ちに健康被害が起こることはあり得ないだろう。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】モモほ場で「モモ果実赤点病」県内で初めて確認 愛知県2024年12月27日
-
【特殊報】ブドウにシタベニハゴロモ 県内の果樹園地で初めて確認 富山県2024年12月27日
-
【注意報】かぼちゃにアブラムシ類 八重山地域で多発 沖縄県2024年12月27日
-
米輸入めぐるウルグアイ・ラウンド(UR)交渉 過度な秘密主義に閣僚も「恥」 1993年外交文書公開2024年12月27日
-
1月の野菜生育状況 さといも以外の価格 平年を上回る見込み 農水省2024年12月27日
-
(416)「温故知新」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月27日
-
東京23区の12月の消費者物価 生鮮食品の前年同月比は2桁増2024年12月27日
-
JA全農あきたがスマート農業研修会 農機・担い手合同は初2024年12月27日
-
【農協時論】石破新政権へ期待と懸念 地方創生自任し民主的な議論を 今尾和實・協同組合懇話会代表委員2024年12月27日
-
ブランドかんきつ「大将季」登場 銀座三越で「鹿児島の実り」開催 JA全農2024年12月27日
-
「鹿児島県産 和牛とお米のフェア」東京・大阪の飲食店舗で開催 JA全農2024年12月27日
-
【世界の食料・協同組合は今】化石補助金に対する問題意識(1)循環型社会 日本が先導を 農中総研・藤島義之氏2024年12月27日
-
【世界の食料・協同組合は今】化石補助金に対する問題意識(2)化石資源補助削減が急務に 農中総研・藤島義之氏2024年12月27日
-
【人事異動】日本農産工業(2025年4月1日付)2024年12月27日
-
TNFDを始める企業必見 農林中金・農中総研と共同セミナー開催 八千代エンジニヤリング2024年12月27日
-
「産直白書2024年版」刊行 記録的な猛暑で農業の難しさが顕著に 農業総研2024年12月27日
-
農林中金 医療メーカーのニプロとソーシャル・ローン契約 10団体とシンジケート団2024年12月27日
-
協同組合振興研究議員連盟に国会決議を要請 IYC全国実行委員会2024年12月27日
-
2025国際協同組合年全国実行委員会がSNSで情報発信2024年12月27日
-
インターナルカーボンプライシング導入 井関農機2024年12月27日