シンとんぼ(73) 食の安全とは(31)3つの信頼2023年12月16日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、ここのところ「食の安全」とは何かということの検証を試みてきた。
色々と検証してみて感じたのだが、結局「食の安全」=「農産物の安全」とは、農産物の安全とは、結局のところ国の登録制度および生産者、農薬メーカーと消費者間の信頼関係によって形づくられるものではないかと思う。
つまり、国の登録制度への信頼(=確実に安全な農産物を生産できる残留基準と用法・用量が定められていること)、農薬メーカーへの信頼(=農薬メーカーが登録制度に則った製品を供給し、使用者に対し正しい使用方法を啓発していること)、生産者への信頼(=日本の生産者は皆が農薬製品ごとに定められた用法・用量を確実に守って正しく使用していること)といった3つの信頼を消費者が持ってくれることで成り立つのだと思う。
ついでに言えば、現行の農薬の登録制度は、100倍の安全係数をかけてADIを設定するなど2重3重の防護壁を設けて、万が一ヒューマンエラーがあったとしても十二分に農産物の安全性が担保されるように作られているので、日本国民はどこでも安全な国産農産物を手に入れることができるようになっていることも信じてほしいものだ。
しかし、一部の消費者やマスコミは、現代の農薬を昔の人畜毒性の強い農薬が使用されていた時代と同一視し、農薬=危険とのイメージを持ち続け、特に一部のマスコミは残留基準超過事例が発生するたびに危険性を煽り、正しくない情報を垂れ流し、不安を煽るばかりである。
本稿で何度かお伝えしたが、農薬を使用して生産された農産物を食べて、農薬中毒で亡くなった方はいないのだ。巷では、農産物の輸入がストップされ国産で全てを賄わなければならなくなった時、今の自給率では到底国民の胃袋を満たすだけの食料は賄えないだろうと言われている。
有識者の意見では、現在の耕地面積を全て有機農業化しても食料の生産は需要量に追い付かず、生産量アップのためには農薬が不可欠になるだろうといわれている。
農家も不要な場合にも農薬を使うことはしておらず、安定生産に必要な農薬を必要な分だけ使っていることをしってほしい。アンチ農薬の皆さんも、そろそろ農薬を毛嫌いするばかりでなく、もっと正しく農薬のことを理解し、農薬にもメリットがあることを理解するようになってほしいものだがいかがだろうか?
重要な記事
最新の記事
-
【年頭あいさつ 2025】国際協同組合年機に反転 村上光雄 一般社団法人 農協協会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法理念 実現の時 江藤拓 農林水産大臣2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法の具体化に全力 山野徹 全国農業協同組合中央会 代表理事会長2025年1月2日
-
食と農を未来へつなぐ【年頭あいさつ 2025】折原敬一 全国農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】利用者本位の活動基調に 青江伯夫 全国共済農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】つながり強化戦略推進 奥和登 農林中央金庫 代表理事理事長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】医療、福祉の充実に一丸 長谷川浩敏 全国厚生農業協同組合連合会 代表理事会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】『家の光』創刊100周年 JA教育文化活動支援に尽くす 栗原隆政 (一社)家の光協会 代表理事会長2025年1月2日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(2)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(3)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(4)2025年1月1日
-
2025年度 農林水産関係予算 2兆2706億円 前年より20億円増2024年12月27日
-
【特殊報】モモほ場で「モモ果実赤点病」県内で初めて確認 愛知県2024年12月27日
-
【特殊報】ブドウにシタベニハゴロモ 県内の果樹園地で初めて確認 富山県2024年12月27日
-
【注意報】かぼちゃにアブラムシ類 八重山地域で多発 沖縄県2024年12月27日
-
米輸入めぐるウルグアイ・ラウンド(UR)交渉 過度な秘密主義に閣僚も「恥」 1993年外交文書公開2024年12月27日
-
1月の野菜生育状況 さといも以外の価格 平年を上回る見込み 農水省2024年12月27日
-
(416)「温故知新」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月27日
-
東京23区の12月の消費者物価 生鮮食品の前年同月比は2桁増2024年12月27日
-
JA全農あきたがスマート農業研修会 農機・担い手合同は初2024年12月27日