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【JCA週報】世界史の大きなうねりの中で #2(三輪昌男) (2002)2023年12月18日

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「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年6月号に、三輪昌男氏が執筆された「世界史の大きなうねりの中で」です。
ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。

世界史の大きなうねりの中で#2/全6回(2002)
三輪昌男(國學院大學・名誉教授)(当時)
(連載 21世紀における協同組合の意義と課題 第1回)

2001.9.11以降(#1)
ICAソウル総会(#2)
第三世界の声(#3)
1999年末シアトル(#3)
ポルトアレグレ集会(#4)
別のダボス(#4)
新自由主義(#5、#6)
狂気の時代の正気の島(#6)

ICAソウル総会
2001年10月中旬,国際協同組合同盟=ICAの総会が韓国のソウルで開かれた。参加された当研究所・十河研究員の報告が,本誌(協同組合経営研究月報)の02年1月号に載っている。

9.11から僅か1か月後だから,当然に,テロ事件と米国政権の行動が話題になり,協同組合としてどう対応するかが語られている。十河報告は,それに焦点を当てたものではない。したがって当然に,その点での情報提供は限られている。とはいえ,どのような対応が語られたか,その要点を知ることはできる。私なりに取り出してみよう。

◎ICAロドリゲス会長は開会式の主催者挨拶で,「アメリカの悲惨な事件に思いをおこし,寛容と理解の精神を重ねて主張するとともに,平和を求めるのは人類の権利であり,連帯と対話を進め,協同組合が平和に積極的に参画していくことがどんなに重要であるかを訴えた」。
▼「寛容と理解の精神」の主張は明らかに,米国政権の力の姿勢,独善の態度に対する批判である。

◎基調購演でタイのスパチャイ氏(次期WTO事務局長)は,「同時テロに触れ,格差の拡大は平和へのプロセスにとっては明らかに貢献はしない。経済のグローバル化に対する怒りを増すだけ,富者への貧者の敵意を鋭くするだけである・・・・・・との考えを述べた」。
▼(米国主導の)グローバル化による「格差」=<経済的不平等>の拡大,<貧困>の強まりが,テロ事件を生む原因であったこと,その除去の取組みに協同組合の意義があること,を示唆している。

◎総会のテーマは「グローバリゼーションの時代における協力と平和/協同組合の関わりと展望」であった。その討議の中でグローバル化の「ネガティブな面」が,「所得・貧困の格差,食料供給の不均衡の拡大,WTO交渉の問題,地球環境の破壊,地域経済の疲弊,地域文化の破壊,情報格差問題,先進国等での失業問題,青少年や女性への悪い影響,テロ問題などに表われ,経済のアメリカ一国集中につながっていることなどが議論された」。また「ネガティブな問題を解決するために・・・...協同組合は,価値と原則にもとづき,協同組合ビジネスによって貢献できることなどが議論された」。
▼「ネガティブな面」の中にテロ事件の原因が潜んでいる,その除去がテロ根絶の道である,と米国政権を批判し,その除去に協同組合は意義を発揮しうると議論された,と読むことができる。

もう一つ,テロ事件に焦点を当てた総会参加者の報告をみておこう。
◎総会で選出されたバルベリーニ新会長は,就任挨拶で次のように述べた。「テロとは正しい方法で闘わなければならない。軍事行動はそれを解決する方法ではなく,人類をより大きな戦争に巻き込むものである。重要なのは,テロが起こり拡大する原因であり,現在の経済のグローバル化を見なければならない」「平和,人間の尊厳,環境といった,人類的な価値に立った『責任ある市民の参加』が重要になっている」(『日本労協新聞』01年11月5日付)。
▼前段が米国政権批判であり,後段が協同組合の意義を述べたものであることは,明らかである。

21世紀に入った世界史の展開をリードする米国政権の姿勢・態度に対して,ICAに結集した協同組合人は,①はっきりと批判し,②別の路線を示し,③それを推進する協同組合の意義を唱えている。

①と②の対応は,協同組合人以外の人々によっても行われている。そこには協同組合人にとって参考になることが,いろいろある。それを吸収することは,協同組合が意義をより大きく発揮するうえでの一つの課題に違いない。その観点から,いくつかの情報をみていこう。

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