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シンとんぼ(75) 食の安全とは(33)「汚染物質」2024年1月6日

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令和3512日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の"食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)"があり、モニターの方がハザードごとに不安を感じるかどうかを調査し、その割合が示されている。(調査概要は前号参照)

まずは、2004年の調査結果でダントツ1位の61.2%の方が不安に感じた「汚染物質(カドミウム、メチル水銀、ヒ素、ダイオキシン類等)」の意識の変化を探ってみようと思う。

汚染物質のうち、カドミウムはイタイタイ病、メチル水銀は水俣病の原因として広く知られており、国民感情からしても真っ先に気になる物質であろう。加えて、ヒ素は1998年の和歌山カレー事件、ダイオキシン類については1999年所沢・野菜ダイオキシン汚染事件などが契機となって国民の関心が一気に高まったと思われる。

2004年調査で「汚染物質」がダントツ1位となった背景には、特にヒ素とダイオキシン類に関係する事件があるだろう。ヒ素は人為的な事件であったことが解明されるにつれて、通常は食品に含まれる可能性が極めて低いことが理解されたし、ダイオキシン類についても詳しく調べてみると思い込みによる誤報であることが判明することで、気になる度合が下がっていった。

実際の「汚染物質にとても不安を感じる」モニターの割合は、2004年61.2%もあったものが、3年後の2007年には48.9%と減少し、さらに5年後の2012年には18.3%と2004年当初からすると7割以上も減っている。直近では12.1%(2017年)~15.6%(2022年度)程度で推移しており、とても不安に感じるモニターの割合は、世相に大きく影響を受けているのは間違いない。例えば、ダイオキシン類については1990年頃から報道される割合が多くなり、1999年頃がピークだったのが、2004年の結果に影響しているのだろう。

このことは報道がいかに国民意識に影響を与えるかのいい事例だと思うが、問題は報道内容が正しいか正しくないかである。人間だから間違うことはあるだろうが、思い込みの憶測報道で騒ぎを大きくするのが多いような気がする。それに、報道関係者が自らの間違いを大々的に知らしめることはまず無く、多くの場合、簡単にお詫びしただけで、訂正報道をきちんとやることはほとんど無いので、誤報の影響やダメージはしばらく癒えることはない。

この辺のところをよく理解して正しい報道を心がけ、もし間違っていたらきちんと間違いを正してほしいと思うのは、無茶なお願いなのであろうか?

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