シンとんぼ(78) 食の安全とは(36)BSE(伝達性牛海綿状脳症)2024年1月27日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の“食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)”があり、モニターの方がハザードごとに不安を感じるかどうかを調査し、その割合が示されており、前回からハザードごとの意識の変化を探っている。今回は、2004年の調査で4番目に多かった「BSE(伝達性牛海綿状脳症)」だ。
「BSE(伝達性牛海綿状脳症)」にとても不安を感じるモニターの割合は、2004年35.5%であったものが、3年後の2007年には27.2%と減少し、さらに5年後の2012年には25.6%、2017年に6.6%、直近の2022年でも7.6%と、近年では1割にも満たなくなっている。
BSEは牛海綿状脳症と呼ばれ、1986年に英国で初めて確認された牛の疾病である。牛がよたよたと歩行困難になったり、奇声を発するなどの神経症状を起こして死に至ることから、狂牛病とも呼ばれた。この病気の原因は、牛の持つ感染性を持たない正常プリオン蛋白が異常化して感染力を持つようになった、異常プリオン蛋白が原因と考えられており、これは一般的な加熱処理や消毒剤では感染力を完全に失わせることができない恐ろしいものだ。狂牛病発症牛の98%を占めた英国は、400万頭の牛を殺処分して感染拡大を防止に努め、日本でも英国からの牛肉関連製品の輸入を禁止し、肥料として使用されていた肉骨粉も使用禁止となるなど対応した。
そのかいあってか、日本では平成13年9月以降36例のBSE発生が確認されたものの、平成21年に1月に確認されたのを最後にBSEの発生報告はない。加えて、現在までのところBSEが人や豚、鶏などへ感染したとの報告は無いことから、現在は騒ぎも収まっているように思う。
BSEが恐れられた第一の要因は、人間に発生する変異型クロツフェルト・ヤコブ病とBSEの関連が指摘され、脳など特定部位を食べていたことが原因であるとみられたことだった。
至極あたり前のことではあるが、人が食の安全で不安に感じるものは生命を脅かす未知なるものに対する恐怖であり、たとえ未知の解明が進み危険を回避することができるようになったとしても、「人の不安を完全に解消するのは難しい」ことを、BSEにとても不安を感じる人がなくならないという事実が示しているように思う。
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