シンとんぼ(79) 食の安全とは(37)「家畜用抗生物質による薬剤耐性菌」2024年2月3日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の“食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)”があり、モニターの方がハザードごとに不安を感じるかどうかを調査し、その割合が示されており、前回からハザードごとの意識の変化を探っている。今回は、2004年の調査で5番目に多かった「家畜用抗生物質による薬剤耐性菌」だ。
このハザードにとても不安を感じるモニターの割合は、2004年30.7%であったものが、3年後の2007年には24.9%と減少し、さらに5年後の2012年には13.2%、2017年に11.1%、直近の2022年でも13.9%と、ここ10年以上10%強の割合が続いている。これは、このハザードの場合、このことを気にする方が大体1割ぐらいは常にいると考えた方が良いだろう。
一般に抗生物質は、その連用によって薬剤耐性菌の発生するリスクが高くなることが知られている。薬剤耐性菌とは本来は聞くはずなのに、効かない現象だ
家畜の生きていると生命に関わるような細菌性の病気になることがあり、それを治療するためには人間と同様に抗生物質が必要になる。そのため、飼育している際に病気にならないように抗生物質を飼料に混ぜたり、注射したりして家畜に投与される。そこまではいいが、実は家畜に使用される抗生物質は、家畜専用であることは無く、人間用のものを家畜に使用していることも多い。このため、仮に家畜で使用されて耐性菌が発生してしまった際に、家畜を経由して耐性菌が伝搬し、不幸にして人間に感染してしまうこともあり得るのだ。その場合、人間に投与されたことがなくとも、抗生物質が効かない細菌が人間に感染し、治療のための抗生物質が役に立たないということもありうるのだ。これが「家畜用抗生物質による薬剤耐性菌」を不安に感じる理由である。
現在は、抗生物質を必要以上に与えたり、同じ抗生物質を連用したりなど誤った使用がなされないように、指定外の抗生物質の使用禁止など法律により使用が制限されているので、以前よりは耐性菌の発生リスクは軽減している。そのため、家畜用抗生物質に対する不安も軽減傾向にあるのだろうと考えている。
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