シンとんぼ(82)食の安全とは(40)『いわゆる健康食品』2024年2月24日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の“食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)”があり、モニターの方がハザードごとに不安を感じるかどうかを調査した結果が示されており、前回からハザードごとの意識の変化を探っている。今回は、最後のハザードである2004年の調査で8番目に多かった「いわゆる健康食品」だ。このハザードにとても不安を感じるモニターの割合は、2004年16.9%であったものが、3年後の2007年には8.9%と若干減少し、さらに5年後の2012年には11.3%、2017年に19.5%、直近の2022年でも20.8%と、ここ10年以上2割強とやや増加傾向にある。
1991年に定められた保健機能食品制度では、健康食品というのは特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品の2つを指し、これらに指定されてはいないが、健康に何らかの好影響があると謳われているものを「いわゆる健康食品」と表現されているようだ。極端な言い方をすると、本当に保健機能を有するものはトクホなどの正規品と、それ以外のまがい品を「いわゆる・・・」と表現しているようだ。
例えば、1995年頃のココアブームやアガリスクブーム、2000年の海洋深層水や黒ごまブーム、その後、コエンザイムQ10や黒酢ブームなど、時代とともに様々な「いわゆる健康食品」が登場して、盛り上がっては急速に下火になったりが繰り返されてきた。
問題なのは、安全性が十分に確認されないままブームになってしまうことがあることだ。神のキノコと呼ばれたアガリクスが発がん性で問題になったように、ブーム後に安全性面での問題が指摘されたりということもあった。いわゆる健康食品は、天然素材を原料とすることが売りになっていることが多いので、アガリクスの例のように、天然素材には得体のしれない天然毒が含まれている可能性があることを重要なリスクとして認識しておかなければならない。
天然=安全という誤った認識は消えることはないかもしれないが、「いわゆる健康食品」を不安視する方が2割程度いて微増しているということは、誤った認識に気付いている人の割が増えてきているのではないかと期待している。
前回もいったが、この辺の正しい認識を広く浸透させていくには、正しい情報を発信すべき立場の人々(公的機関? 業界? マスコミ?)が繰り返し発信し続けていかないとだめだろうなと改めて思う。
重要な記事
最新の記事
-
【年頭あいさつ 2025】国際協同組合年機に反転 村上光雄 一般社団法人 農協協会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法理念 実現の時 江藤拓 農林水産大臣2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法の具体化に全力 山野徹 全国農業協同組合中央会 代表理事会長2025年1月2日
-
食と農を未来へつなぐ【年頭あいさつ 2025】折原敬一 全国農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】利用者本位の活動基調に 青江伯夫 全国共済農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】つながり強化戦略推進 奥和登 農林中央金庫 代表理事理事長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】医療、福祉の充実に一丸 長谷川浩敏 全国厚生農業協同組合連合会 代表理事会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】『家の光』創刊100周年 JA教育文化活動支援に尽くす 栗原隆政 (一社)家の光協会 代表理事会長2025年1月2日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(2)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(3)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(4)2025年1月1日
-
2025年度 農林水産関係予算 2兆2706億円 前年より20億円増2024年12月27日
-
【特殊報】モモほ場で「モモ果実赤点病」県内で初めて確認 愛知県2024年12月27日
-
【特殊報】ブドウにシタベニハゴロモ 県内の果樹園地で初めて確認 富山県2024年12月27日
-
【注意報】かぼちゃにアブラムシ類 八重山地域で多発 沖縄県2024年12月27日
-
米輸入めぐるウルグアイ・ラウンド(UR)交渉 過度な秘密主義に閣僚も「恥」 1993年外交文書公開2024年12月27日
-
1月の野菜生育状況 さといも以外の価格 平年を上回る見込み 農水省2024年12月27日
-
(416)「温故知新」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月27日
-
東京23区の12月の消費者物価 生鮮食品の前年同月比は2桁増2024年12月27日
-
JA全農あきたがスマート農業研修会 農機・担い手合同は初2024年12月27日