シンとんぼ(83)食の安全とは(41)ゲノム編集食品2024年3月2日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の“食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)”みついて、モニターの方が不安を感じるかどうかをハザードごとに調査した結果が示されている。前回までに2004年の8個の調査項目を紹介したが、2007年の調査では、これらに「ゲノム編集食品」、「器具・容器包装からの溶出化学物質」、「肥料・飼料等」の3つが加わった。これらは、2004年以降に発生した新たな事件(?)の発生に伴い、新たなハザードとして認識されたものだ。まず「ゲノム編集食品」を紹介する。
このハザードは、追加された2007年に20.2%を示したものが徐々に減少し、5年後の2012年には12.5%、さらに5年後の2017年に10.0%、直近の2022年でも11.0%と近年は1割前後で落ち着いているようだ。
そもそもゲノム編集作物とはなんだろうか? ゲノムといえば遺伝子だから、遺伝子組換えと同じじゃないの?という疑問が当然ながらわいてくる。
育種は、従来自然界で起こる突然変異したものや交配によって求める形質をもった作物を長い時間かけて選抜してきたもので、基本的に遺伝子の偶発的な突然変異をもとにしている。
遺伝子組換えもゲノム編集も遺伝子の変異を伴うのは従来の方法と同じなのだが、異なるのは遺伝子変異の起こさせかたである。
遺伝子組換え作物は、他の生物の遺伝子の中から作物に導入したい形質を司る遺伝子部分を切り取り、それを作物の遺伝子に組み込んで新たな作物をつくる。つまり、これまでの作物には存在しなかった遺伝子が組み込まれ、その結果、他の生物の遺伝子が作物体内に残ることになる。
これに対しゲノム編集は、その作物自身の遺伝子の特定の場所(性質を変えたい形質を司る遺伝子の部位)をDNA切断酵素などで切断して、遺伝子自身の自然回復をおこさせて変異を誘発させる。このため、他の生物の遺伝子は作物には残らない。このため、ゲノム編集は従来の育種と同様な結果が得られるとして、国は届け出すればゲノム編集作物を作付できるとしている。
しかし、オフターゲット変異(ターゲットとした部分以外で遺伝子変異が起こる)によって何らかの有害性を示す可能性を否定できないので、この点を不安視する人がいるのも事実だ。やはり、何が起こっているのかわからない未知なるものへの恐怖は、他のハザードと同様に無くすことは難しいのだろう。
重要な記事
最新の記事
-
プロの農業サービス事業者の育成を 農サ協が設立式典2025年10月21日
-
集落営農「くまけん」逝く 農協協会副会長・熊谷健一氏を偲んで2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(1)2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(2)2025年10月21日
-
随契米放出は「苦渋の決断」 新米収穫増 生産者に「ただ感謝」 小泉農相退任会見2025年10月21日
-
コメ先物市場で10枚を売りヘッジしたコメ生産者【熊野孝文・米マーケット情報】2025年10月21日
-
【JA組織基盤強化フォーラム】②よろず相談で頼れるJAを発信 JA秋田やまもと2025年10月21日
-
【中酪ナチュラルチーズコンテスト】出場過去最多、最優秀に滋賀・山田牧場2025年10月21日
-
11月29日はノウフクの日「もっともっとノウフク2025」全国で農福連携イベント開催 農水省2025年10月21日
-
東京と大阪で"多収米"セミナー&交流会「業務用米推進プロジェクト」 グレイン・エス・ピー2025年10月21日
-
福井のお米「いちほまれ」など約80商品 11月末まで送料負担なし JAタウン2025年10月21日
-
上品な香りの福島県産シャインマスカット 100箱限定で販売 JAタウン2025年10月21日
-
「土のあるところ」都市農業シンポジウム 府中市で開催 JAマインズ2025年10月21日
-
コンセプト農機、コンセプトフォイリングセイルボートが「Red Dot Design Award 2025」を受賞 ヤンマー2025年10月21日
-
地域と未来をさつまいもでつなぐフェス「imo mamo FES 2025」福岡で開催2025年10月21日
-
茨城大学、HYKと産学連携 干し芋残渣で「米粉のまどれーぬ」共同開発 クラダシ2025年10月21日
-
まるまるひがしにほん 福井県「まるごと!敦賀若狭フェア」開催 さいたま市2025年10月21日
-
北〜東日本は暖冬傾向 西日本は平年並の寒さ「秋冬の小売需要傾向」ウェザーニューズ2025年10月21日
-
平田牧場の豚肉に丹精国鶏を加え肉感アップ 冷凍餃子がリニューアル 生活クラブ2025年10月21日
-
誰もが「つながり」持てる地域へ 新潟市でひきこもり理解広める全国キャラバン実施2025年10月21日