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誰がために原発はあるのか【小松泰信・地方の眼力】2024年3月13日

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「NHKは結構いい番組もやってますが、7時のニュースと9時のニュースは完全に死んでいます」(白井聡氏・政治学者、白井聡・金平茂紀・猿田佐世共著『白金猿』かもがわ出版、2018年)。

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核燃料サイクルで金も票も自民党へ

そのNHKによるかなりいい番組だったのが、3月2日放送のNHK・ETV特集『膨張と忘却』。サブタイトルは「理の人が見た原子力政策」。理の人とは、吉岡斉氏(元九州大学副学長、2018年1月逝去)。
毎日新聞(3月11日付)で山田孝男氏(同紙特別編集委員)が取り上げた。その概要は次の通り。
「原発が再稼働すれば使用済み核燃料(核のゴミ)が出る。政府は核のゴミを再利用するしくみ(核燃料サイクル)をつくると言っているが、この技術は、研究開発が始まった1970年代から半世紀以上を経てなお、未完成である。1兆円費やして廃炉に至った高速増殖原型炉『もんじゅ』。完工を26回延期中の再処理工場。依然、絵に描いた餅の、核のゴミ最終処分場。核のゴミの中間貯蔵施設も未稼働......。米欧は、技術的にも経済的にも困難と見て核燃料サイクルから撤退。日本も今世紀初め、政府の有識者会議で撤退論が出た」、その時、「自民党、官僚と電力会社が<裏会議>で脚本を練り、データを操作して有識者会議を核燃料サイクル支持へ誘導」した。その内幕を暴いたのがこの番組。
NHKは、核燃料サイクル政策継続を決定づけた2005年の裏会議の文書をスッパ抜く。そして、表と裏、両方の会議の中心にいた近藤駿介氏(東大名誉教授)に「長計(原子力委員会・長期計画策定会議=有識者会議)の始まる前にこういう会議があって、やっぱり"結論ありき"だったと見られかねないと思うが?」と問い詰める。
近藤氏は、「これは、...ですね。しかしあの...あるていど事前に整理しないと会議なんかできませんので、こういう整理したんですよ。事前の...整理整頓は必要なんですどんな会議でも。やらなきゃ会議が長くなるだけなんで...」と、しどろもどろ。
原子力委員会・長期計画策定会議が核燃料サイクル政策継続を容認した2005年10月、吉岡氏は手帳に、「原子力長期計画委をつらぬく無責任の思想」と書き込んだ。
山田氏は、「核燃料サイクルは電力や機械、土建業界を潤す。立地自治体は交付金と雇用に沸く。企業献金も、選挙の票も自民党へ流れる。つまり、核燃料サイクルは政治権力の問題である。目先の利益をむさぼって原発リスクを軽視する政治が、次の過酷事故を招くことを恐れる」と、警鐘を鳴らす。

薄く広く電力料金に乗せてうみだす電金術

当コラムもすぐにNHKプラスに220円支払い、見ることに。とにかく見どころ満載。
2004年の吉岡氏の手帳には「経産省の内通者の実名」が書かれていた。内通者というよりも、核燃料に突き進む国等の動きに疑問を抱き、「立ち止まって考え直すべきでは」と、冷静な判断を求めた資料『19兆円の請求書-止まらない核燃料サイクル-』を作成し、マスコミ等に配った心ある若手官僚たちである。資料の最後には、「政策的意義を失った19兆円が国民の負担に転嫁されようとしている」という趣旨のことが記されている。西日本新聞me(2015年1月31日・2020年7月13日更新)の「『国策』に逆らった元キャリア官僚の憂い 電源構成の議論開始」によれば、19兆円は、「再処理工場の操業から廃止、中間貯蔵、高レベル放射性廃棄物の処分など原発稼働の後処理(バックエンド)」にかかる費用とのこと。
その後責任を取って職を辞した若手官僚の一人は、「全く意味のない事に19兆円もかけてやろうとしていることに、国民との間でこれは大問題だと、世の中に訴えなくちゃいけないと思ったわけです」と語っている。そして、ある有力政治家から「君らが言ってることは全部正しいな。でもねぇ、これは神話なんだ。嘘は承知で"出来る出来る"って言ってればいいんだ。薄く広く電力料金に乗っければ19兆円なんてすぐ生み出せる」と、言われたそうだ。錬金術ならぬ電金術には言葉を失った。
「結局、国民よりも自分たちの飯の種とか立場とかを優先しているんですよ。『金』と『嘘』と『おまんま』がグチャグチャになって固まっているんです」と、元官僚は総括した。

原発政策のほころびは繕うことが"出来ぬ出来ぬ"

東日本大震災から13年目を迎えたが、「今なお復興の足かせとなり、住民の帰還を阻んでいるのが、東京電力福島第1原発の過酷事故である」とは、京都新聞(3月11日付)の社説。「肝心の廃炉の見通しは依然として不透明だ。最も困難な工程である溶融核燃料(デブリ)の取り出しは、23年度中の開始を予定していたものの、技術開発の遅れを理由に今年10月へ先送りした。延期は3度目である。デブリが除去できなければ処理水は発生し続ける。東電は、廃炉と処理水放出の完了時期について『見直す必要はない』とするが、疑問を抱かざるを得ない」とする。
そして、「岸田文雄政権は原発推進へ回帰した。昨年は最長60年としてきた運転期間の延長を認める法改正を進め、次世代型原発の開発まで打ち出した。事故の収束も核ごみ処分のめども立たず、原発の無理押し」と指弾する。
西日本新聞(3月11日付)の社説も、「岸田文雄首相は一昨年、原発の積極活用路線に転じ、再稼働だけでなく、新増設や建て替えまで打ち出した。突然の180度の方針転換に多くの国民が納得しているとは思えない」として、「原子力政策の議論は不十分だ」とする。さらに「元日の能登半島地震では道路があちこちで寸断され、原発事故を想定した避難計画は全く役に立たないことがあらわになった。原発立地地域でさえ、活断層の把握が十分でないことも認知された。この状況で原発の再稼働が進むと考える人は少ないのではないか。原発にたまり続ける使用済み核燃料を再処理する工場はいまだに完成していない。原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分は候補地が定まらない。原発政策のほころびは明らかだ」と厳しく追い込む。
そして、「再生可能エネルギーの拡大が世界の潮流」とし、「原発事故の恐ろしさを経験した日本は再エネ拡大の先頭に立つべきだ。近く次期エネルギー基本計画の議論が始まる。危険を内包する原発に将来も頼るのか。政府は国民に問う必要がある」と迫っている。
「原発復権」に大きく舵を切った政府は「福島の教訓」を忘れている、と嘆くのは東京新聞(3月11日付)の社説。「危険な『非常口なきマンション』に国民を住まわせ続けてよいわけがない。一度、立ち止まって考えよ-」のメッセージを「能登半島からの警告」として衝きつける。
原発が「トイレなきマンション」で、原発依存症のこの国は「非常口なきマンション」。イズレニシマシテモ、人が住めるところではない。人々がトイレも非常口もある普通のすみかを得るためには、国民を愚弄する政治屋どもに鉄槌を下すしかない。

「地方の眼力」なめんなよ

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