プラントベースフードとしての"玄米"加工食品の可能性【熊野孝文・米マーケット情報】2024年4月9日
プラントベースフードとは、植物由来の肉や魚の代替食品のことで、良く知られるのは大豆ミートやオーツミルクなどだが、マヨネーズやヨーグルトなど本来乳畜産物から作られる加工食品が植物から作られるようになっており、近年その市場規模が急拡大、それを普及させるための全国組織も立ち上がっている。プラントベースフード市場の可能性に着目して(株)神明が今月から玄米を原料とした新しいプラントベースフード商品2品を売り出すことになった。
(株)神明が今月から販売を開始するプラントベースフードは「玄米シュレッド」と「玄米ヨーグルト」の2品。商品開発に当たった同社クロスセル商品開発室若林歩部長に商品特性とプラントベースフード市場での玄米商品の可能性について聞いてみた。
――商品開発のきっかけについて
「玄米そのものの栄養価について再注目してもらいたかった。昨年夏に消費者調査を実施したところ、精米は糖質と言うイメージがあったが、玄米は健康に良いということが知られていた。ただ、玄米は炊くのが面倒と言う意見が多く、それならばもっと食べやすくしたプラントベースフードにしたら興味を持ってもらえるのではと思った」
――どのような消費者調査だったのか
「20才から50才代の男女で、植物性食品に関心を持っている人。プラントベースフードは流行しており、それ専門のレストランもあるようです。」
――プラントベースフードを食べるのはビーガンみたいな人たちか
「ビーガンは動物性の食品を全く食べない人たちです。ただ調査で出会ったプラントベースフードを食べる人は、動物性の食品も食べるし、乳製品も食べ、いろいろ食を楽しんでいるというように感じました。もちろん食に対しては気を使っている人たちです。一番わかりやすいプラントベースフードの流行りは豆乳。牛乳の代わりにアーモンドや大豆で作ったミルク。豆乳が出てきたころはプラントベースフードと言う言葉はなかったが、最近出てきた言葉。プラントベースフードの市場規模はここ10年で倍になっており、2025年には730億円になると予測されている。植物で動物性の食品を作るということで、乳、卵、肉、魚の代替食品。最近は刺身も植物で出来るようになっている」
――玄米でプラントベースフード食品をつくる狙い
「今のプラントベースフード原料は大豆やアーモンドと言った海外から輸入した原料が主流になっている。我々は、日本人にはやはり米をベースにしたプラントベースフードを食べていただきたいと考えたのがこの事業のスタート。米屋の信念としても取り組むべき価値がある」
――玄米シュレッドと言う名前の由来
「乳製品でない限りチーズと呼んではいけないと乳等省令で定められており、玄米を原料にしたものはチーズとは呼べないので、『シュレッド』、細かく切ったものと言う意味の言葉になった。原料はもち玄米で、粉にして油脂を加えるほか発酵香を付けるため酒粕を使ったりして製造する。神明の自社の工場で製造している」
――この商品の特徴
「玄米で作ったプラントベースフード食品と言うのが最大の特徴です。それとコレステロールゼロということとアレルギー特定原料等28品目を使用していないということです。ですので学校給食の方からも声をかけてもらっています。大豆や乳などいろんなアレルギーの子供がいるので、この商品だったらどんなお子さんでも食べられるということで関心を持ってもらっています」
――それだけでもインパクトがありますね
「実際、現在販売している米粉シュレッドを使ったピザを食べたお子さんが『初めてピザを食べることが出来て感動した』という声もいただいています。原料がもち米なので弾力はありますが、チーズのようにトローンとした感じを出すのに苦労しました」
――短時間で商品化できた要因は
「グループ企業で米粉からチーズ代替品をつくる方法を研究し、すでに「米粉シュレッド」という商品があった。今回はその商品をもとに、価値を強化するため「玄米シュレッド」にリニューアルしました。玄米をつかったチーズ代替品は他には見たことが無いです。冷蔵物流出来る会社経由で全国販売する予定で、この会社の展示・商談会でも『これから伸びる商品だね』という意見をいただいて、一緒に育てていきたい商品という声もいただいています」
――玄米商品の可能性について
「玄米には栄養素がバランスよく含まれていて、このことについては良く知られるようになってきましたが、食べづらいので、食べやすくする工夫が必要で、チーズやヨーグルトという形が一つ。パックご飯や冷凍米飯と言った分野の商品も増やしていきたい」
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米多収日本一 山口県のあぐりてらす阿知須 10a当たり863kg2025年3月3日
-
【特殊報】ナシ胴枯細菌病 県内で初めて発生を確認 島根県2025年3月3日
-
政府備蓄米売り渡し 入札 3月10日に実施 農水省2025年3月3日
-
新潟県の25年産米概算金「コシ2.3万円」 早期提示に歓迎の声 集荷競争、今年も激化か2025年3月3日
-
米の集荷数量 前年比23万t減に拡大 農水省2025年3月3日
-
米価高騰問題への視座【森島 賢・正義派の農政論】2025年3月3日
-
【次期家畜改良目標】低コスト、スマート農業重視 酪農は長命連産、肉牛は短期肥育2025年3月3日
-
【改正畜安法の現状と課題】需給対策拡大が焦点 問われる「国主導」2025年3月3日
-
あなたたちは強い〝武器〟を持っている JA全国青年大会での「青年の主張」「青年組織活動実績発表」講評 審査委員長・小松泰信さん2025年3月3日
-
JA農業経営コンサルタント 15人を認証 全中2025年3月3日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年3月3日
-
農業用バイオスティミュラント「エンビタ」とは 水稲育苗期にも効果 北興化学工業2025年3月3日
-
アミューズメント施設運営「ティスコ」株式を譲受 農林中金キャピタル2025年3月3日
-
「2025ローズポークおいしさまるごとキャンペーン」でプレゼント 茨城県銘柄豚振興会2025年3月3日
-
福岡ソフトバンクホークスとのオフィシャルスポンサー契約更新 デンカ2025年3月3日
-
ファーマーズ&キッズフェスタ2025 好天で多数の参加者 井関農機は農業機械体験2025年3月3日
-
【今川直人・農協の核心】産地化で役割が高まる農協の野菜取り扱い2025年3月3日
-
野菜がたっぷり食べられるカレー味「ケンミンカレー焼ビーフン」新発売2025年3月3日
-
第164回勉強会『海外市場での植物工場・施設園芸の展開』開催 植物工場研究会2025年3月3日
-
春の山梨の食材の魅力を伝えるマルシェ 5日から国分寺マルイで開催 雨風太陽2025年3月3日