【JCA週報】2010年のJAが危ない、将来方向は#2 (坂野百合勝) (2002)2024年4月15日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年7月号に、坂野百合勝氏が執筆された「2010年のJAが危ない、将来方向は」です。
ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。
2010年のJAが危ない、将来方向は#2/全7回(2002)
坂野百合勝(全国農協役職員共済会・常務理事)(当時)
(連載21世紀における協同組合の意義と課題 第2回)
はじめに (#1)
10年後のJAが危ないー経営基盤を揺るがす世代交替一
1.右肩下がりの環境下で経営力低下 (#1)
2.世代交替がもたらす深刻な影響 (#2)
3.経営基盤を揺るがす資本力の低下 (#3)
4.伸び率低下の事業伸長率 (#4)
5.進む正組合員の勢力縮小 (#4)
6.組合員の参加・参加力の低下 (#5)
7.次々に発生する不良資産 (#5)
8.高コストで競争力低下 (#5)
10年後も活力ある組織で発展し続けるために (#6)
JAの将来像と課題 (#7)
10年後のJAが危ないー経営基盤を揺るがす世代交替一(続き)
2.世代交替がもたらす深刻な影響
JAの組合員構成をみると,中山間地帯では60歳以上が50%を占めていたり60%を占めている組合が多くある。50歳以上となると70%,80%を占める組合員構成比組合が多くある。全国平均でみても50歳以上は60%を超え,組合員の高齢化の割合は年々高くなる傾向が加速度的に進んでいる。
現在のJAは,会社でいえば定年になった者が太宗を占めて,支えてくれている会社というような状態である<図ー1参照>。
また,正組合員の将来予測データをみると,2010年には現在組合員の半数以下の210万人程度に減少することも予測されている。グローバリゼーションが進み,ー物一価の法則で価格競争が展開される地球市場の中で,敗退させられていくわが国農業情勢下での,農家の将来予測データでもある。
組合員の大きな世代交替期に入っているが,組合員の後継者に次世代が連結し難いところに,大きな問題が宿っている。
組合員数が減少していけば,組織の維持発展に欠かすことができない要因の一つである勢力拡大力は低下していくことになる。高齢組合員は5年,10年と時間が経過すれば当然に加齢することになり,引退を余儀なくされる。従って,正組合員の継承対策が必須となるのであるが,この対策はあまり行われてはいない。親子代々の「家=組合員」という自然移譲が行われるであろうことを,いまだに期待している傾向が強いが,情勢は大きく変化している。このことを十分に把握しておかないと,危機的状況に遭遇することになる。
息子はそのほとんどが「会社人間」としてJAと関係なく暮しており,親と同居していてもJAの世界とは無縁の位置にいる。農業生産活動にもほとんど携わらないし,預金も保険も旅行も会社グループの機関を利用しており,JAの事業利用もほとんどない者が多い。要するにJAとの関連性が極めて薄い息子たちが正組合員の予備軍である。
正組合員の後継者対策は容易な対策では実現できない。しかし,この問題の解決なしにJA経営の将来発展はありえない。ただし,著しく農業生産活動を縮小させられた都市化地帯のJAにおいては,組合員の年齢別構成は,高齢化が進んではいるものの交替期には後継組合員が多くいる。
(続く)
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