【JCA週報】2010年のJAが危ない、将来方向は#4 (坂野百合勝) (2002)2024年5月6日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年7月号に、坂野百合勝氏が執筆された「2010年のJAが危ない、将来方向は」です。
ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。
2010年のJAが危ない、将来方向は#4/全7回(2002)
坂野百合勝(全国農協役職員共済会・常務理事)(当時)
(連載21世紀における協同組合の意義と課題 第2回)
はじめに (#1)
10年後のJAが危ないー経営基盤を揺るがす世代交替一
1.右肩下がりの環境下で経営力低下 (#1)
2.世代交替がもたらす深刻な影響 (#2)
3.経営基盤を揺るがす資本力の低下 (#3)
4.伸び率低下の事業伸長率 (#4)
5.進む正組合員の勢力縮小 (#4)
6.組合員の参加・参加力の低下 (#5)
7.次々に発生する不良資産 (#5)
8.高コストで競争力低下 (#5)
10年後も活力ある組織で発展し続けるために (#6)
JAの将来像と課題 (#7)
10年後のJAが危ないー経営基盤を揺るがす世代交替一(続き)
4.伸び率低下の事業伸長率
JAの事業伸長力は,右肩上がりになるかどうかである。これまでのJAの事業は,経済事業(販売,購買事業)が恒常的赤字事業で,その赤字を黒字の事業である信用事業と共済事業で支えて,総合事業体として生き延びてきている。ところが販売事業,購買事業の取扱高は,ここ数年の対前年比は毎年マイナスであり,年々事業規模そのものが縮小し,縮小再生産構造に陥っている。そのうえ赤字構造は変わっておらず,経営革新,合理化のスクラップ部門に位置付けられている。
頼みの信用事業も低金利と激烈な国際的金融競争の下で貸付も伸びず,運用利回りも低下して利益率は低下の一途をたどっている。さらには運用の失敗で巨額の不良資産を発生させているため,その処理費用に巨額の費用を必要として信用事業の収益は著しく低下してきている。
これまで困ったときの駆け込み寺的機能を発揮した信連が,経営不振に陥って危機的状況にあるケースも多く出てきている。信連がJAに駆け込まなくてはならない事態となり,これまで考えてもみなかった,駆け込み寺の逆転現象が起こっている。ところがJAも置かれている環境は信連と同じであり,剰余金も数千万円程度しか出せない状況ともなっており,信連を救う余力などなくなっている。相互扶助,相互援助制度は共倒れを引き起こしかねない状態にある。
さらにJAの金融事業の深刻な要因は,大口貯金者である高齢組合員のリタイヤーに伴う貯金の流出原因である。ペイオフによる流出要因もさることながら,構造的な深刻な課題である。遺産相続ともなれば,財産は分割されるであろうし,流出原因は増大する。大口の貯金者30%で貯金の70%近くを担ってくれているのだから,重大である。3対7の法則を今後どのような組合員に,どのように担ってもらうのかの対策を講じていかなければ,JAの信用事業は崩れていきかねない。
残るは頼みの共済事業であるが,伸び率は信用事業同様に年々低下してきており,運用環境も信用事業同様に,厳しさを増して運用利回りも低下している。逆ざや問題もあり,他業者の保険商品との競争も激化して市場環境の将来予測は甘くはない。長年にわたって展開してきた総合事業効果として構築してきた,役職員と組合員の深い関係性の絆でもある義理と人情による事業展開も,限界にきている。これまで使ってきた推進術も次世代の後継組合員たちには,ほとんど通用しない推進術となろう。
5.進む正組合員の勢力縮小
JAの勢力拡大力は維持できるのであろうか。
全国で530万人強の正組合員がいるが,農業が縮小し衰退の一途をたどっている割には正組合員数の減少が少ない。不思議な現象ではあるが,ここに大きな問題がある。JAごとに内容は異なるが,一般的には正組合員の准組合員化が進行している。生産物の販売額ゼロ,生産資材の購入額ゼロという組合員でも,耕作地面積が10アールに満たない組合員でも正組合員として登録されているし,定款で組合員資格の耕作地面積を5アールや3アールに引き下げて正組合員を維持しているJAもある。
JAにおける正組合員とは何かという基本問題が出てきているのであるが,このことはとりあえず触れないことにする。しかし,実態像を正確に把握しておかなければ,事業戦略や運営を行っていくときに,的を射た的確な内容を組み立てて,実施していくことができなくなる。組合員ニーズからかけ離れた内容となり空回り事業となって,事業伸長にもつながらないことになってしまう。
正組合員の実像分析をきめ細かくして対策を講じていくことが求められている。総代会に示された数字と実態の数字を区別して,対策を講じていくことが必要である。自らが農業経営を行う正組合員パワーとしての組合員力は年々低下していっているし,正組合員の加入増加は期待できない状況にあり,正組合員の勢力は世代交替とともに年々縮小傾向にあり,JAの発展因子としてはマイナス的要因を高めることとなっている。
(続く)
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