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向こうの方に戦争という亡霊が【原田 康・目明き千人】2024年5月13日

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戦後の約75年の間、日本には現れることのなかった戦争という亡霊がまだ遠くではあるが向こうの方に立っている。75年の間、戦争のない平和な日本を皆で努力をしてきたが平和では困る人もいる。世界地図の規模で各国の政治、経済の状態を分析すればどの国にも日本に戦争を仕掛けるという大きなリスクを抱えてもそれに見合ったものがないことは明らかであり、そのような国は見当たらない。

なぜ戦争の亡霊が向こうの方に立っているのか、理由として考えられるのは軍事基地である。国土を守るためとして軍事基地がある。日本の自衛隊も最新鋭の装備は持っているであろうが問題は外国の軍隊の駐留である。

同盟国を守るという理由で米国の軍隊が駐留している。米国は世界第一の軍事大国である。軍事基地は仮想の敵国から日本を守るためとなるが、仮想敵国とされた国にとっては大きな脅威でもある。戦争の亡霊が向こうに立っている理由がここにある。

実際に戦争と戦後の混乱を体験した人が少なくなった。小生は小学校6年生の時に終戦であり空襲で逃げ回った経験をした最後の世代である。夜は電気をつけると明かりをめがけて空襲をされるので地下に防空壕を掘ってそこでの生活となった。当時は愛知県の刈谷市に住んでいたが刈谷には豊田の大きな自動車工場があったので連合国の艦載機が名古屋市への空襲の行きと帰りに爆弾を落としていった。

日本軍の防空の戦闘機は無論、高射砲の陣地も壊滅的で米軍の戦闘機は何の妨害もなく空襲が出来た。人や動いているものを見ると機銃掃射をするので飛行機を見ると畑や木の陰に隠れた。小型の艦載機は低空飛行をしたので米国のパイロットの顔をハッキリと見たことを今でも思い出す。

戦場の悲惨さは無論であるが、"銃後の守り"となる国の全部の生活が想像を超える悲惨な状態となる。小学校の6年生が毎朝朝礼で整列をして「大きくなって兵隊さんになり、戦争で鬼畜米英を全滅させ、名誉の戦死をして靖国神社に祀(まつ)られることが男子の本懐である」と斉唱させられた。戦争の亡霊は退散させなくてならない。

(原田 康)

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