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消滅可能性自治体の解消策【小松泰信・地方の眼力】2024年5月15日

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トヨタ自動車が5月8日発表した2024年3月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年比96.4%増の5兆3529億円となり、日本企業で初めて5兆円の大台に乗せた。

komatsu_honbun.jpg自民党への献金概要

 東京新聞(5月7日付)は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に対し、野党から企業・団体献金の禁止を求める声が強まっていることを受け、同紙が独自で実施した、自民党に対して2000万円以上の献金を行った34の企業・団体へのアンケート調査について報じた。その結果概要は次のように整序される。
①パーティー券購入の有無については、「あり」17、「なし」0、「未回答」17。
②献金の主な目的・理由については、「社会貢献」を明記したものが12と最も多い。それ以外で、「社会」を含む言葉を記したのが10。
③献金の継続については、「続ける(予定を含む)」が9。「未定」「今後判断する」など明言を避けたものが15。未回答が10。
 なお、すべてに未回答だった企業・団体名とそれらの2022年の献金額は、キャノン(4000万円)、伊藤忠商事(2800万円)、三井物産(2800万円)、日本鉱業協会(2100万円)。

献金が社会貢献ですか?

 企業・団体献金に対する国民の冷ややかな視線を感じ取っているならば、アンケートへの未回答は、当該献金の後ろめたさを反映したもの。とすれば、制度変更がない限り、調査対象の企業・団体はこれからも、パーティー券を購入し、献金も続けるはず。ちなみに冒頭で紹介したトヨタ自動車は、企業でトップの献金5000万円。
 違和感を禁じ得なかったのは、献金の主な目的・理由として、「社会貢献」や、それを除いても「社会」という言葉が多用されていたことである。
 一政党への献金を「社会性」を帯びたものとする感覚に、疑問と憤りを覚える。被災地への寄付とか慈善活動への寄付と同等に位置付けているとすれば噴飯物である。反社会的組織へのみかじめ料のごとく、あくまでもリターンを求めているからだ。
 同紙も、八田進二氏(青山学院大名誉教授)の「国際的には事業での『社会貢献』が評価される時代に、社会貢献が献金の目的だと主張しても理解を得られにくい」「具体的な説明が企業には求められる」とのコメントを紹介している。
 こんなことを見逃していたら、厚かましく社会性の名を借りて、儲かるものがますます儲かり、すべなき貧者はますます貧しくなっていく。反社政党と大企業がカネの力で傍若無人の振る舞いをすることで、取り返しのつかないほど富が偏在する社会になって行くことに、NOを突き付けなければならない。

自治体を消滅させるのは誰だ

 社会における富の偏在と、自治体間に横たわる富の偏在、換言すれば「東京一極集中と消滅可能性自治体」の問題は同根。
 民間有識者でつくる「人口戦略会議」(議長=三村明夫・前日本商工会議所会頭)は4月24日、全国の市区町村のうち4割超に当たる744が「消滅する可能性がある」とする報告書を発表した。
 これに対して、「違和感がある」で始まるのは、信濃毎日新聞(4月27日付)の社説。長野県内77市町村のうち26市町村が該当する。
 若い女性の増減に的を絞った考察に対して、「産めよ増やせよ、そのために自治体は頑張れという無言の圧力になりかねない」と指弾する。そして「結婚や出産はその人の選択であり、どう生きるのかという個人の尊厳にかかわる。国力が落ちる、自治体がなくなるからと言われて、『では産もう』と当の女性が思うはずもない」「一人一人が幸せに暮らし続けられるために環境を整えるのが国、自治体の役目だ。それがひっくり返っていないか」と、至極まっとうな指摘。
 国に対して、権限、財源を移譲する地方分権の断行による東京一極集中の速やかな是正を訴える。
 他方で、地方には、「住民や企業も交えて地域の将来を語り合い、住みよい地域に磨きをかけ」「人手不足やインフラの老朽化など課題を共有して政策の改善に声を上げ、根深い性別役割分担の意識をほどいていく努力」を求め、地域が主体性を発揮することを強調する。
 そして、消滅可能性自治体とされた県内の26自治体に対して、「人間が生きていく上で欠かせない豊かな自然、文化に恵まれている。浮き足立つ必要などない」とエールを送る。

コストや効率論で論じるな

 西日本新聞(5月11日付)で前田隆夫氏(同紙論説委員)は、かつて取材した小さな集落を思い出しながら、「『限界集落』のレッテルを貼り、未来は危ういと、誰が一刀両断にできようか」と怒りを隠さない。
 人口推計を基に国や自治体の将来を考えることは認めた上で、その対策をコストや効率論で論じることに疑問を呈する。
 コンパクトシティー構想に対しても、「過疎地に住む人を数字でしか捉えていない。そこに根差す文化や風土、都市生活に欠かせない食料の生産、山や海を守る営みは視野に入らないのだろう。行政が思うようにコンパクトシティー化が進まないのは、住民と土地の結びつきに思いが至らないからだ。机上の効率論で人は動かせない」と指摘する。
 さらに、「人口減少は国家にとってよくないこと」だからといって、「人口が減り続ける市町村に何とかしろ、頑張れと駆り立てるのは筋違いではないか」と疑問を投げかける。
 そして、「東京に経済的な富が集中し、地方から人を吸い込む構造を変えない限り、この国の人口問題は根治しない。政府の対策にはそこが欠けている」と、頂門の一針。

本社移転の勧め

 東京新聞が実施したアンケート調査の対象企業・団体のほとんどが、東京都内に本社や主要事務所を構えているはず。反社政党に献金したり、パーティー券を買わされるより、消滅可能性自治体に移転した方がよほど世のため人のため、国家のためだ。
 ITだAIだDXだで、どこにいても仕事ができるご時世なんでしょ。可及的速やかに東京から出て行ってくれ!

 「地方の眼力」なめんなよ

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