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【JCA週報】2010年のJAが危ない、将来方向は#7 (坂野百合勝) (2002)2024年5月27日

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「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年7月号に、坂野百合勝氏が執筆された「2010年のJAが危ない、将来方向は」です。ボリュームの関係から複数回に分けて掲載しました。
なお、本コラム「JCA週報」は次回(2024年6月3日)をもっていったん終了とさせていただきます。2019年4月1日より5年間にわたりお読みいただいた皆様、ありがとうございました。
また、掲載の機会をいただいた農協協会の皆様に重ねて感謝申し上げます。

2010年のJAが危ない、将来方向は#7/全7回 (2002)
坂野百合勝(全国農協役職員共済会・常務理事)(当時)
(連載21世紀における協同組合の意義と課題 第2回)

はじめに (#1)
10年後のJAが危ないー経営基盤を揺るがす世代交替一
1.右肩下がりの環境下で経営力低下 (#1)
2.世代交替がもたらす深刻な影響 (#2)
3.経営基盤を揺るがす資本力の低下 (#3)
4.伸び率低下の事業伸長率 (#4)
5.進む正組合員の勢力縮小 (#4)
6.組合員の参加・参加力の低下 (#5)
7.次々に発生する不良資産 (#5)
8.高コストで競争力低下 (#5)
10年後も活力ある組織で発展し続けるために (#6)
JAの将来像と課題 (#7)

JAの将来像と課題
JAの進路には二つの道が考えられよう。一つは,職能組織としての「JAは農業協同組合である」という道。つまり農業者中心の生産,販売事業中心の協同組合としての道である。いま一つは,「JAは地域協同組合である」という道である。つまり農業者が激減して地域で協同組合として存続し続けるためには,地域に居住している多様な住民を拠り所にして,組合員化をはかり事業を展開していかざるをえないという道である。

1.避けがたい大規模組織化
しかし共通することは,前者も後者の道も,広域合併による進路を辿らざるをえないという状態にあることである。いずれの道を歩むにしても,当面広域化以外に方策がないという状態にあることである。

その理由の第一は,農業者の減少による事業体としての適正必要数である組合員の確保が困難であること,第二は,巨額の不良資産処理能力が低下していること,第三は,激烈なコスト競争にさらされて,大幅なコストカットを行わざるをえないことなどがある。

窮地に直面しているJAであるが,前述した6つの経営指標を右肩上がりの状態で維持していくためには,当面広域合併や組織統合策で乗り切るしか方法はないと思われる。現実にも小規模県では一県ーJAの規模で大規模化が進められているし,検討が進んでいる。

しかしこのような傾向が進む状況にはあるが,どこまで合併を重ねて広域化し大規模組織化すれば,JAが抱えている問題の基本的解決ができるのかである。また6つの経営指標が維持できれば組合員満足のJA運営になっているのかどうかという問題もあるが,6つの経営指標を実現する事業展開や運営を行っていくことは,容易なことではない。組織を大きくすれば解決するという単純なことではない。

組織は,物流事業や資金運用,共済事業面では組織を大規模化して一極集中化してパイプを短くすることが効率化をはかりやすいのであるが,人の意志反映や行動は小規模組織や居住地に近いところで活動できることが効果的である。また農業生産,販売活動面では地域特産,ブランド化指向の中では地域特性を踏まえた地帯別対策が必要となり,小規模組織が効率的である。

さらには,JAの組織は50年余の長い歩みの中で,組合員と職員,役員の関係性を深めてきた中で特有の風土を形成してきており,地域での強さ発揮の原動力ともなっている。こうした地域資源としての蓄積を抹消してしまうのも能がない。

2.大規模組織管理の理論とノウハウを開発
JAの適正規模がどのようなものなのかについては,改めて研究を深める必要がある。

"大きいことは良いことだ"という幼稚な考えで合併,統合を進めていると,後で取り返しのつかない事態にも追い込まれかねない。組織を大きくするということは,基本的には集権化を進めるという組織原理に基づいて運営していくということであるが,それだけではメリットも実現できず円滑に運営もできない,という問題も顕在化してきており,分権的運営の必要性が出てきている。運営の仕方,融資,営農指導,人事労務管理,等々においても地区事業本部ごとの責任体制を敷いて,現場に合った特性発揮による方法で,運営していく必要性も指摘されるようになっている。

集権化効果と分権化効果という相対立する組織原理を駆使した組織づくりと運営の必要性も出てきている。しかしこの両側面を体系付けた理論構築とノウハウ開発は相当に高度なものになるし,この理論とノウハウを使いこなす役員や職員の育成も簡単ではない。役職員教育の大改革も必要となるが,早急に取り組まなければならない重要な課題である。本所と支所の関係,事業所の活用方法等について多用な居場所づくりとの関連も含めてそのあり方が問われている。

また組織の大規模化や組織統合は高い集積効果を実現することでもあるが,どこまで協同活動による積み上げをやれば各事業部門で,どれだけのメリットが実現できるのかという基本問題も問われている。

組合員にとっての協同活動効果の実現である。果実が実らない,ゴールなき協同活動運動強化を叫んでいるだけでは組合員離れは加速する。目標と期間を明確にして運動を展開することなしに,JAの事業への組合員の結集力を高めていくことはできない。

偽装表示事件等も発生してコンプライアンス論議が盛んであるが,こうした問題も協同組合原則のその一である「正直であること,誠実であること,他人への配慮を怠らないこと」を教育し,実行させていれば発生しない問題であり,コンプライアンスだと大騒動をすることもないのである。

右肩上がりの高度成長時代に一般企業のキャッチアップ型理論と,事業方式を導入して事業展開を行ってきた付けでもある。そして不祥事が起こると,管理監督の徹底,コンプライアンスの徹底,監査の強化などがお決まり文句で叫ばれるが,協同組合人としての役員,職員の教育の改革と企業のキャッチアップ型業方式の改革を,叫ぶことはほとんどない。問題が起こる原因把握が的確でないために,再発防止対策にはならないのである。

今日,JAの事業,運営が行き詰まって,経営難に陥っているが,その根源的原因に協同組合特性を放棄した組織づくり,事業推進,運営の仕方が指摘できる。

この難問を打開するためには,いま一度JAは誰のために,何をする組織なのか,どのような特色あるやり方で事業,組織づくり,運営を行っていけば優位性が確立できて,競争力を高めることができるのかについての研究を深めることが欠かせない。そのための理論とノウハウの開発が必要である。JAの強さは,結局のところ組合員力をどこまで事業,活動,運営に発揮させることができるかにある。

(了)

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