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改正法案通って野に下る【小松泰信・地方の眼力】2024年5月29日

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「内閣支持率下落27%」の見出しが目を引いたのは日本農業新聞(5月23日付)の1面。

komatsu_honbun.jpg農業者の内閣支持率は激減

 日本農業新聞が4月下旬から5月中旬に行った農政モニター調査(農業者を中心とした同紙のモニター1057人が対象。720人が回答)によれば、「岸田内閣を支持しますか」という問いに、「支持する」26.9%、「支持しない」72.6%。昨年9月の調査結果は、「支持する」44.5%、「支持しない」54.4%。前回調査と比べて支持率は17.6ポイントの減。これは、2021年10月の岸田内閣発足以来最低。同紙は、「自民党派閥の裏金事件への対応などが、農政を含め政権への厳しい評価につながったとみられる」としている。

どれだけ使えば気が済むの

 「自民党の裏金問題を契機に、国会では政治資金規正法の改正論議が始まっている。政治資金の話となると政治家が言い出すのが『政治にはカネがかかる』という決まり文句だ。このせりふ、そのまま信じていいのか」で始まるのは、西日本新聞(5月26日付)の永田健氏(同紙特別論説委員)によるコラム。
 総務省が公表した2022年の政治資金収支報告書の中から、岸田文雄首相の政治団体「新政治経済研究会」の支出をチェックし、多額の会合費や商品代に納得いかず、内容を分析することに。
 その政治団体は、会食が中心と思われる会合費として1年間に66件、合計1923万円の支出を報告。1件平均29万円。高額なケースとして、1回の支払いで都内の料亭に93万円、水炊き店に58万円、中華料理店に51万円など。
 総務省統計局が発表している「家計調査」(23年)にある、母親と20歳未満の子どものみの世帯(シングルマザー世帯)の1カ月の食費は平均約5万6600円。岸田首相が一晩で料亭に支払った93万円は、平均的なシングルマザー世帯の1年4カ月分の食費に当たることから、いわゆる「政治にはカネがかかる」ことの実態を示す。
 この収支報告書を、会社近くのファミレスで読み込んだ永田氏は、「カネが『かかる』のではない。『かけている』のだ」と怒り、会合はすべてファミレスでやることなどを提言。「それでも足らないのなら、そこで初めて『政治にはカネがかかる』と言ってほしいものだ」と皮肉る。

水田は票田にあらず

 アンケート調査のもう一つの注目点は、岸田政権の農業政策についての評価である。
「大いに評価」1.3%、「どちらかといえば評価」18.5%、「どちらかといえば評価しない」37.2%、「全く評価しない」33.2%、「分からない」8.9%。大別すれば、「評価する」19.8%、「評価しない」70.4%。昨年9月の調査結果は、「大いに評価」1.9%、「どちらかといえば評価」24.7%、「どちらかといえば評価しない」40.9%、「全く評価しない」21.1%、「分からない」10.6%。大別すれば、「評価する」26.6%、「評価しない」62.0%。
 「全く評価しない」が12.1ポイント増加するなど、岸田農政の支持率も明らかに下落している。 
 加えて、農政で期待する政党については、自民党が36.4%と最も多い。しかし、昨年9月が46.9%で、10.5ポイントの減。
 次の全国規模の国政選挙において比例で投票する政党については、「決めていない」が34.3%で最も多く、これに「自民党」29.0%が続く。昨年9月は、「自民党」が41.4%で最も多く、これに、「決めていない」29.8%が続いていた。「自民党」に投票する人が、12.4ポイントも減少している。
 これらの結果は、農村が自民党の金城湯池、すなわち票田ではなくなりつつことを示唆している。
 
止まらない農業を起点とする食料システムの衰退

 食料・農業・農村基本法改正案への識者の酷評から、岸田農政の支持率がさらに下落することが予想される。
 「最重要課題であった食料自給率目標は一度として達成されなかった。この問題は、目標未達の原因を把握し、適切な政策への抜本的見直しを行ってこなかったことを意味するものである。今回の基本法見直し法案も同様に抜本的な政策見直しが行われていない」と、日本農業新聞(5月27日付)でダメ出しをするのは武本俊彦氏(食と農の政策アナリスト)。
 「経済の停滞・衰退期に取られた大規模化などの政策的妥当性」の評価と、「効率性と持続可能性の両立を図る政策体系の構築」、それぞれの必要性を示すとともに、「大規模量販店の優越的地位が確立しており、農業などが下請け事業者化している実態を無視した議論にほかならない」と、容赦ない指摘。
 最後に、「政府案はそうした検討を行わずに改正しようとするものであり、仮に法律として成立したとしても、農業を起点とする食料システムの衰退は止められないだろう」と厳しく結ぶ。
 
農村政策は誰のためにあるのか

 食料・農業・農村基本法改正案に関する参院農林水産委員会(5月14日)の参考人質疑で、野中和雄氏(中山間地域フォーラム副会長)は、衆議院において、農村問題に関してほとんど議論が行われていなかったことから、農村政策の重要性を強調した。
 「(農村は)多面的機能が発揮される場」で、「国民の資産、財産」であることを、「基本理念にしっかり書くべきだと。何でこれが基本理念から落ちているのかということは理解できない」と慨嘆する。さらに、農村における地域経済の循環を取り上げ、「地域資源を活用した所得と雇用の確保というのを農村振興施策として位置付けるべきである」など、関係人口より以上に、「農業者とかそこに住んでいる地域住民ために必要」な政策提言を求めている。
 農村の一番の問題は、「人口減少と過疎化の加速化」とする。その原因は「農業で食べていけないこと」であるため、「所得の確保というのをその基本法としては中長期的な目標に絶対掲げるべきなんですね。何でこれを掲げないのか」と嘆きは続く。
 農業者や農村居住者にとっては食料安全保障以上に「自分たちの仕事、暮らし、農業を続けてやっていけるのか、住み続けていけるのかということが一番重要」。だから、「農村政策は非常に重要」。しかしこの改正法案では、「農業者あるいは農村現場の方の失望を招くし、将来に禍根を残す」と苦言を絞り出す。
 残念ながら、改正法案は成立する。岸田農政の支持率下落を道連れに。そして現政権に渡されるのは、野に下る道のみ。

 「地方の眼力」なめんなよ

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