シンとんぼ(96) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(6)-2024年6月1日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を実現するために、現場は何をすべきなのかを、同戦略のKPIとその有効性や今後の農業に与える影響などをひととおり検証しながら考察を加えてきた。そして行きついたシンとんぼなりの結論が、現在ある技術を正しく活用すれば、新たな技術開発やイノベーションを待たずとも、みどり戦略の大義は達成可能だろうということだった。
そこで、前回からみどり戦略対応のために、農業現場はどう動くべきなのか、昆虫の分際で持論を展開しており、現在は有機農業の取組面積拡大について検討している。
前回は有機農業拡大に関するKPIがどんなものだったか振り返ったのだが、その中でKPIを実現するために「次世代有機農業に関する技術」が示されている。なので、まずはそれらの技術が現在はどういう状況なのか検証してみよう。
まずは、2020~2030年までに確立するとしている技術である。それは、①地力維持作物を組み入れた輪作体系の構築、②水田の水管理による雑草の抑制、③土着天敵や光を活用した害虫防除技術、④緑肥等の有機物施用による土づくりの4つである。
これらの技術は目新しいものではなく既に確立された技術であり、新たな技術開発というよりは、新たに取り組む生産者や産地を増やし、どのようにして定着面積を増やしていくかの方策をたてていく必要がある。どのような検討が必要かというと、例えば、①であれば組み合わせる作物を販売可能な作物を複数選び、輪作ローテーションを組むための複数の圃場を準備することから始める必要がある。輪作は重要だが、売れない作物は作れないので、販売の目途の立つ、科の違う作物を複数選ぶ必要がある。また、ローテーション圃場についても、有機栽培で使用できるようにするために、3年以上有機適合資材のみで生産した圃場を用意しなければならない。特にこの有機に適合した圃場づくりが大変で、移行期間の収支も考えながら生産する作物を選び、それにあった栽培体系を③や④なども組み入れて考えていく必要がある。
これらを個々の農家でやろうとすると面積拡大に時間がかかるので、国の示したようなスケジュールで面積を拡大するのであれば、販売先まで見越した地域・組織単位で計画的に実行する必要があるだろう。
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