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大幅赤字のコメの貿易収支を改善する方策【熊野孝文・米マーケット情報】2024年6月25日

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日本は毎年海外から77万tものコメを輸入している。輸入先はアメリカとタイが半々程度で、その他、豪州や中国などからも若干量を輸入している。これに対して輸出は昨年度の実績で3万7186㌧に過ぎない。これに清酒や米菓、パックご飯などのコメ加工食品を原料米換算したものを加えても5万8473tにとどまり、コメの貿易収支は大変な輸入超過で大幅な赤字というのが実際の姿である。

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先週はコメの輸出入の実際の現場を見るという意味で格好の展示商談会が2つ開催された。一つは輸入された外国産米の方で、浜松町の貿易センターで開催された「食の魅力 発見商談会2024」。輸出の方は東京ビッグサイトで開催された「日本の食品輸出エキスポ」である。

食の魅力発見商談会では、神奈川県の米穀業者が自社のブースで台湾産米とカリフォルニアのカルローズを展示・紹介していた。台湾産米もカルローズも試食提供され、台湾産米は日本米同様に白飯で提供され、柔らかい食感とほのかな甘みがあり、日本産米と変わらない食味。カルローズは日本米の食感とは異なり中粒種で固めの食感であるためリゾット風に調理してカップで提供された。この業者は、神奈川県内のスーパー140店ほどにこれら外国産米を卸しているが、国産米に比べ相対的に価格が安くなり、急激に売れ行きが上向いているという。おまけに前日にメディアでコメ不足の救世主としてカリフォルニア米が紹介されたこともあって、ブースに人だかりができ、商談席に次々にスーパーや中食・外食のバイヤーが訪れ、席が空く暇がないほどであった。カルローズは5㌔袋とは別に一合の小袋に詰めブース前面に掲げられ、「おうちレストラン」としてリゾットやターメリックライス、パエリア、ライスサラダ用として紹介していた。これらの外国産米はSBSで輸入されたものだが、今年度の入札は終了しており、新年度は9月に第一回入札があり、それで落札しても入船は早くても年末になるため現在販売されている外国産米は貴重品になっている。外国産米の取り扱いが多い卸は、国産米が不足気味になっていることから米穀小売店からの引き合いが急増しており、フレコンで輸入した精米を30kg紙袋に詰め替えて販売しなければならないケースもあるという。

日本の食品輸出エキスポは、国が力を入れているだけあって、東京ビッグサイトの2フロアーの広い会場で約900社が出展してさまざまな食品を展示・紹介した。

コメ関連では、幸南食糧、龍の瞳、くまもとごはん、石光商事、メロディアン、アイリスフーズ、ジャパンフード、石崎商店、アルファテック、ホクレン、味の素冷凍食品、酒田米菓などが出展、精米商品以外ではパックご飯や冷凍米飯、米粉を原料とした商品などコメ加工食品の展示が目立った。

幸南食糧は、自社で広いブースを設置、おかゆDELシリーズの6種類やレトルトカップライスとして160gのきのこごはん、筍ごはん、鶏五目ごはんや世界のごはん旅シリーズではインドビニヤニ風、スペインパエリア風、インドネシアナシゴレン風、冷凍米飯ではくるくるオムライス、キーマカレー、てんぷら巻き、わさび巻きといったユニークな商品を紹介した。同社によると香港や台湾、アメリカ以外にイギリスやスロバキアと言った国にまで輸出しているという。

この他、米粉関連では、日本ハムグループのジャパンフードが冷凍米粉パンや米粉で作ったショコラ、メロディアンが米粉のクッキー、アルファテックがダマにならない米粉を、もち関連ではアイリスフーズがいなり餅や生切り餅、ホクレンがはくちょうもちを使った鶏五目を紹介していた。

この展示商談会の期間中にタイにパックご飯を輸出する計画を立てている業者から話を聞く機会があった。日本のパックご飯のライバルは韓国で、同国にはすでに20工場もの無菌パックご飯製造工場があり、そのすべてが日本製の製造機械であるとのこと。パックご飯の輸出に力を入れているメーカーによるとアメリカでは韓国のメーカーが必ず下値をくぐって来るとのことで価格競争が激化している。ジェトロが調査している世界の主要都市のスーパーでのパックご飯の販売価格を見るとサトウ食品の新潟コシヒカリ3食パック(200g×3食)はニューヨークで10ドル9セントで販売されている。現在のレートで換算すると1594円になる。円安により国内で販売されている価格との開きが著しいが、それだけ日本国内の価格が安いということなのだろうが、それでも韓国産のパックご飯は日本産より1ドルは安い。国際的に日本のコメ加工食品に競争力を持たせるためにはどうしても価格が最大の課題になることは言うまでもない。その意味で備蓄米を餌用に処分するぐらいならコメ加工食品の輸出業者に国際的なコメの価格で売却する制度を導入すべきではないか。

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