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シンとんぼ(101) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(11)-2024年7月6日

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 シンとんぼは令和3512日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を実現するために、現場は何をすべきなのかを、同戦略のKPIとその有効性や今後の農業に与える影響などをひととおり検証しながら考察を加えてきた。そして行きついたシンとんぼなりの結論が、現在ある技術を正しく活用すれば、新たな技術開発やイノベーションを待たずとも、みどり戦略の大義は達成可能だろうということだった。そこで、みどり戦略対応のために農業現場はどう動くべきなのかの持論を展開しており、現在は有機農業の取組面積拡大をテーマに、有機農業拡大に関するKPIを実現するための「次世代有機農業に関する技術」のうち、2040~2050年までに確立するとしている技術の1つである「⑦主要病害に対する抵抗性を有した品種の育成」についての検証の続きである。

 前回までに、現在の日本では、品種の開発登録件数が減少傾向にあり、温暖な気候のためか、途方もない数の防除対象病害虫がおり、主要な病害虫に対する抵抗性品種を育成しようにも途方もない労力と時間がかかるだろうことと、KPI達成のための原動力というよりは、1つのアイテムにしかなり得ないだろうと述べた。

 というのも、抵抗性品種の育成には金と労力と時間がかかる割に日本のように複数の病害虫が同時に発生するような環境では、1つの病害にしか抵抗性を持たないような品種では得られるメリットはそう大きくはないからだ。

 そもそも、抵抗性品種の育成には、従来の育種法で行う場合には、必要な形質を持つ作物を時間をかけて選抜し、選抜した形質を持つ作物を何世代にもわたって掛け合わせ(交配)を繰り返し、最低でも10年、通常は20年という期間が必要になる。近年では、組織培養技術、ゲノム編集といった技術が開発され、それらを活用すれば抵抗性品種の育成期間を4~8年に短縮することができるようになっている。短縮できたといっても4~8年である。また、こういった技術で抵抗性品種の育成が可能な研究機関は限られており、2050年までに一体いくつの抵抗性品種が育成できるか疑問である。 

 いずれにしても、抵抗性品種が育成されたものは上手く活用して有機農業に役立てれば良いと思うが、抵抗性品種でカバーできない病害虫や作物は他の方法で防除を組み立てる必要があることを認識しておかなければならないだろう。

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