コメの先物取引は間違い【原田 康・目明き千人】2024年7月20日
コメの先物取引への上場の動きがある。大阪の堂島取引所への指数先物の上場である。
「指数先物」という聞きなれないのであるがコメを先物取引の対象とすることには変わりがない。コメを先物取引の対象とすることは間違いである。
全国の家庭で「いただきます」と云って食べているのがご飯である。ご飯は日本の食文化の「要」であり食料の安定確保、食の安全の要である。歴史的にも非常時といわれた時代にはコメは政府が直接農家から買い付けて保管して「配給通帳」で各家庭に配給をした。食糧管理法によってコメの生産・流通を政府がコントロールして社会の安定を図った。この時代は、都市部の人たちはコメやサツマイモ、馬鈴薯、南瓜等の食べ物を確保する為に農村に買い出し部隊が出かけた。社会全体が落ち着き、経済の自由化に伴いコメも統制を外し自由な流通となった。
コメは水田で栽培する。水田はコメが安いからといって農家が耕作放棄をして荒れ地にすると元の水田に戻すのに2~3年かかる。水田の管理は稲の生育状況と毎日の気候を見て水を出したり入れたりする。田んぼは各農家の所有であるが個々の田んぼへの水の出し入れは地域全体の農作業となる。水田の機能を維持してコメを栽培できるのは地域の人たちの協力が不可欠である。
コメは必要とする量を生産して流通する仕組みが出来ている。この仕組みを維持することが政府の役割である。先物取引の対象の商品にしてはならない。コメの価格はコメの売買をする関係業者の需要と供給により個別に決められる。自由経済の取引である。個別の取引の価格が安くてこれでは農家のコメ作りが出来ないので価格の維持を図るというやり方ではなく、個別の取引の価格は自由経済として、農家が赤字となった場合は農家の所得全体を補助する方法を講じる。
大型のハウスでの野莱、果実、花きなどの栽培は気象条件をその作物に最適な状態にできる。AI等の最先端の技術によるスマート農業である。露地栽培の水田はAI等の先端技術も取り入れているが毎日の気象条件に合わせた農作業が不可欠である。大自然を相手にする農業という心の豊かさがここにある。
(原田康)
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