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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「オレンジ・牛肉ショック」の根本原因~貿易自由化政策と消費者の選択2024年8月2日

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 ブラジルや米国の天候不順などによるオレンジの不作でオレンジジュースが店頭から消えたり、価格が高騰したりする「オレンジ・ショック」が広がっている。米国産の減少と円安、中国などとの「買い負け」で、国産と輸入牛肉の価格が逆転し、焼肉店の倒産が多発するなどの「牛肉ショック」も起きている。しかし、これらの根本原因は、①畳かけて続いた農産物貿易自由化政策と②消費者の選択による輸入依存の結果だということを認識すべきである。

 オーストラリア産のオレンジは、ここ数年で大きく輸入量を増やしたが、オレンジの輸入先は長らくアメリカの独占状態だった。オレンジ果汁はブラジルに大きく依存している。地球温暖化により世界中で異常気象が「通常気象化」し、干ばつや洪水が至る所で起きやすくなっている。オレンジにかぎらず、不作の頻度の高まりが予想される。日本の輸入牛肉は、米国産への依存度が高い。年間輸入量50万~60万トンの4割を占め、その代表格は牛丼店や焼き肉店で主力の冷凍バラ肉だ。こうした米国を中心とした「輸入に頼り過ぎている」構造の脆さが露呈してきた。

日米牛肉・オレンジ交渉

 輸入依存構造の原因は、米国からの度重なる圧力だ。米国からの余剰農産物受け入れのための貿易自由化は戦後の占領政策で始まったが、日本の自動車などの対米輸出増による貿易赤字に反発する米国からの一層の農産物輸入自由化要求の象徴的な交渉が「日米牛肉・オレンジ交渉」だった。系譜は次の通りである(外務省HP)

1977年, 第1次交渉
78年,数量合意(83年度には右を達成すべく拡大。牛肉:83年度3万トン,オレンジ:8万トン,オレンジジュース:6,500トン)

1983年,第2次牛肉・オレンジ交渉(数量拡大要求)
→ 84年,牛肉につき88年度までに年間6,900トンずつ増加させることで合意。

1988年,第3次牛肉・オレンジ交渉(輸入割当撤廃,関税化を行い,税率を段階的に引き下げ),最終合意。
→ 牛肉:91年度70%,92年度60%,93年度50%(急増の場合:+25%),オレンジについては3年,オレンジジュースについては4年で自由化(輸入枠の撤廃と関税率の引き下げ)。

 その後も、関税引き下げ交渉が続き、2015年のTPP合意では、牛肉は最終的に9%の関税まで引き下げることが合意された。オレンジの生果とジュースの関税は段階的に撤廃することが合意された。

 米国などから安いオレンジが大量に入ってきて、競合する温州(うんしゅう)ミカンなどは壊滅的な打撃を受けた。故・山下惣一氏はこう述べている。「ピーク時には17ha360tもあったミカンは42ha80万tまで減っています。新興産地のわが村では大小合わせて100戸の農家がミカンを植えましたが、現在残っているのはわが家を含めて4戸です。(中略) 日本のミカンは自由化で強くなったとアホなことをいう人がいますがとんでもない話で現在に至るまでには死屍累々の世界があったわけで、これはどの分野でも同じでしょう。「儲かる農業」などと簡単に気安くいうな。私はそう言いたいですよ。」

(https://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2017/01/170104-31746.php)

 牛肉についても、「国内農家への打撃が懸念されたが、牛肉では危機感を持った畜産農家などが品質向上に努め、世界に知られる「和牛」ブランドが育った。」(日本経済新聞、2019618)といった評価する見解もあるが、今や、35%(飼料自給率を考慮すると10%)前後にまで低下している。

 だから、オレンジも牛肉も、ひとたび海外で何かが起きれば、国民が一気に困る状況になっている。オレンジ・牛肉ショックはこの現実を見せつけている。米国からの畳みかける貿易自由化要求に応じてきた結果であり、国民が輸入に依存してきた結果である。今こそ、身近な国産、地元産に目を向け、大事にすることの大切さが身に染みる。

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