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(397)古墳と野菜の話【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年8月16日

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 日常生活の中に溶け込んでしまうと毎日のように目にしていても、意外と意識しないものは多いですね。お盆の時期でもありますし、近くの「古墳・墓」から開始。

 仙台市のホームページの中に「仙台市の遺跡」(注1)という項目がある。その先の「種別検索」で「古墳・墓」を探すと42件の遺跡が紹介されている。目当ては「兜塚古墳」である。場所は仙台南高校グラウンドの北の端だ。ローカルな話題で申し訳ないが、月に何度か通るバス道路わきに小山のように横たわっている。

 説明を見ると「帆立貝式前方後円墳」であり、「古墳時代中期後半(5世紀後半)」に築造されたようだ。市内に「埴輪を有する中期の古墳で墳丘が良好に残っているものは兜塚古墳だけ」であり、「首長クラスの古墳」と考えられているという。

 ところで、この古墳の真上に胸像がある。一体誰なのだろうと思っていた。調べてみると、沼倉吉兵衛の胸像である。1959年にかつての宮城農学校の同窓会が遺徳を讃えて建てたようだ。沼倉吉兵衛といえば、「仙台白菜」である。

 「仙台白菜」は、もともと中国東北部で育てられていた白菜を元に、品種改良を繰り返して誕生したようだ。「松島白菜」、「松島純1号」「松島純2号」「松島新2号」などの品種が生み出されたが、これを実践したのが当時、宮城県農学校に勤めていた沼倉吉兵衛である。

宮城県に植物試験場が設置されたのが1875年、10年後の1885年に農学校が設立されている。戦後は1952年に宮城県農業短期大学となり、それが1972年までは兜塚古墳の隣、現在の宮城県武道館の場所にあった。そこから太白区旗立に移り、2006年に短期大学から筆者の現在の職場でもある宮城大学食産業学群(当時は部)へと引き継がれている。その意味では、分野は異なるが職場の偉大な大先輩ということになる。

 さて、ほぼ100年前の1923年、関東大震災が発生した。当時の東京では漬物用として「三河島菜」が中心であったことが知られている。震災の被害を受けた時期と、「仙台白菜」の栽培拡大や全国への出荷拡大が重なったようだ。このため、東京の漬物が「三河島菜」から白菜(「仙台白菜」)に変化したと伝えられている。まだ千葉などの近郊野菜産地が確立する遥か前の話である。

 興味深いのは、「仙台白菜」の普及により消滅したと考えられていた「三河島菜」だが、実は種が江戸時代に仙台に持ち込まれ、「仙台白菜」の全盛期にも受け継がれていたという点である。こちらは「仙台芭蕉菜」として仙台朝市などで売られ、地元の人に愛され続けている。

 2010年頃、全国的に地域ブランドへの関心が高まる中で伝統野菜も注目された。東京でも"幻の漬菜"としての「三河島菜」への関心が高まった。東京都荒川区役所のホームページには「三河島菜の子孫種である『仙台芭蕉菜』の流れから...」(注2) という記述が見られる。今では復活した「江戸東京・伝統野菜『青茎三河島菜』として栽培」されているようだ。これも双方の関係者による努力の賜物であろう。

 そういえば初めて仙台に来た時、「芭蕉菜」と「仙台芭蕉菜」の違いがよくわからなかった。前者は高菜の仲間であり、元々岩手県南部でよく栽培されている。後者は先に述べたとおり「三河島菜」の子孫のようだ。植物学は不案内だが、こうしてそれぞれの地域が工夫を凝らし、ある時期には強い流れに押されて消滅したか見えても意外と何らかの形で生き残る点は経営・ビジネスの観点からも興味深い。

* *

 「奥の細道」は松尾芭蕉、その旅の出発点は東京都荒川区の千住大橋のたもと「矢立初めの地」です。三河島はそこからすぐであることを考えると、漬菜が辿った流れが思わぬところで重なったような感覚になります。

(注1)仙台市ホームページ、「古墳・墓」「仙台市の遺跡」。アドレスは、https://www.sendai-c.ed.jp/~bunkazai/isekidb/c00047.htm 202484日確認)

(注2) 東京都荒川区ホームページ「復活!江戸伝統野菜」「江戸伝統野菜」。アドレスは、  https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a022/kankoleisure/tokusanhin/dentoyasai.html (2024年8月3日確認)

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