イノシシ対策【イタリア通信】2024年8月19日
畑を荒らすイノシシ
近年イタリアでは野生のイノシシの被害が増え続け、大きな問題になっている。
昨年の農業への被害は約2億ユーロ(約320億円)、小麦、大麦、トウモロコシ、野菜、ブドウ畑まで荒らされており、さらに養豚所の近くで死んでいたイノシシから豚コレラ菌が発見されたために、健康な豚数千頭を屠殺しなければならなかった。
また道路を歩くイノシシが原因で170件の交通事故が起きており、死傷者も出ている。
そしてイノシシの数は2010年には50万頭(ISPRA環境保護・研究最高機関発表)だったものが、2020年には100万(狩猟雑誌より)を越し、2022年には230万頭(ヴィルジリオ・ニュースより)に達している。
これに対して政府は2023年6月に「野生動物、特にイノシシの管理を規定」する政令を発布した。
内容は:
野生イノシシの管理者を置く。
管理者の任務は、イノシシの数を管理して生態学的バランスを維持し、農業、森林、自然生態系への被害を防ぐこと。
イノシシの数を一定にとどめる為の手段は:
・天敵:オオカミや熊の導入や保護。
・狩猟:一定数を維持するための狩猟プログラムの作成。
・不妊:不妊薬を餌に混ぜて食べさせる。捕獲して不妊手術を行う。
・物理的障壁:イノシシ防御璧を作る。
・不妊や繁殖率の低い雌イノシシを放す。
管理者のカテゴリー:
選択的防除ハンター: イノシシを含む野生動物の選択的防除に関する特別な訓練を受けたハンター。
狩猟免許を持つ者:有効な狩猟免許を保有し、イノシシの数を管理するために組織された狩猟に参加する者。
野生生物管理者: 地方自治体によっては、野生動物の封じ込め作業のために特別な訓練を受け、認可されたスタッフ。
狩猟監視官:地方によっては狩猟監視官がイノシシの駆除を行う。
農家および牧場主: 状況により、特に農作物や家畜に重大な被害を被った場合、イノシシ駆除活動に参加することが許可される。
これらの人たちは特定の研修を受けた上で試験に合格し、必要な認可を取得、狩猟や野生生物を管理する州や地方自治体の公式リストに登録される。
政令により管理者は下記を実行することが出来る。
- 防除および捕獲計画: たとえ野生動物保護地域であっても、野生イノシシの捕獲および殺害を計画、認定狩猟者や州警察などの専門職員によって実行する。
- 都市部への介入: 野生イノシシの存在が公共の安全に対するリスクを意味する都市および都市近郊地域への介入も可。(普通都市部での狩猟は禁止)(最近ローマなどの都会にも家族連れのイノシシが現れてゴミ箱をあさったりしている)
- 地方自治体は、狩猟期間の延長や、さらなる防除措置を採用することが出来る。
- 予防措置: 作物への被害を軽減し事故を防ぐために、フェンスの建設や抑止力の使用などの予防措置の採用も促進する。
しかし政令が作られても、イノシシによる農作物の被害は増える一方なので、イタリア全土でCOLDIRETTI(イタリア自作農総連合会)などによる抗議運動が行われている。
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