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【花づくりの現場から 宇田明】第41回2024年8月22日

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切り花が特異的によく売れる物日(ものび)とよばれる日が、年に5回あります。

春の彼岸、お盆、秋の彼岸、年末と母の日です。

そのなかで8月のお盆は気候的に最も厳しい物日。

年々、夏が暑くなり、体温を超える最高気温が常態化。

高温多湿による蒸れで傷んだ切り花は、花店から市場にクレームとして返品されます。

クレームは8月が最大で、低温期の3~5倍あるといわれています。

物日のクレームによる返品は、花店の予定を狂わします。

その日の仕事ができない、加工ラインが止まる、人件費が無駄になるなど、その影響ははかりしれません。

花市場の担当者も代替品の手配などで大混乱します。

輸送中の高温による蒸れで葉が枯れたキククレームの原因は、高温多湿。

切り花は、温度が高いほど呼吸量が増え、体内養分を消耗し、老化が早くなります。

湿度が高いとかびが発生します。

加えて、呼吸熱で体温が上昇するので、蒸れやすくなります。

高温期に切り花の出荷箱に手を入れると、火傷をしそうになるほど植物体が熱くなっていることがわかります。

さらに、生産者が花を切ってから、花店に届くまでの流通時間が伸びています。

切り花の傷みは、収穫後の「温度時間値(温度×時間)」に比例して増えます。

夏が暑くなり、流通時間が長くなっているのですから、切り花が傷み、クレームが増えるのは当然です(写真)。

対策は、収穫後の「温度時間値(温度×時間)」を小さくすること。

すなわち、生産者が切り花を収穫してから花店に届くまで低温に保つ、いわゆるコールドチェーンと、流通時間の短縮です。

では輸送を中心に、切り花のコールドチェーンでは温度を何度まで下げればよいのでしょうか。

理想をいえばきりがありません。

生産者、花市場、小売業者が零細な花産業は、青果物に比べて冷蔵施設や低温輸送手段が十分に整備されていません。

また、それらを導入するコスト、維持するコストの負担にも耐えられません。

そのような花産業の現状では、当面は決してコールドではありませんが、25℃以上の高温にさらさないことを、コールドチェーンの第一歩と考えてよいでしょう。

コールドチェーンの実証試験データをみると、品質低下の要因は温度そのものではなく、チェーンがとぎれることだとわかります。

大産地、大手市場であれば、産地から市場までの低温輸送や、市場の冷蔵庫・保管庫はかなり整備されていますが、それでもそれぞれの連結点でコールドチェーンが途切れています。

途切れているのは、生産者から地域の集荷場までの輸送および集荷場、市場の荷さばき場、市場から花店への配送などで、かなりの時間が高温に遭遇しています。

その高温遭遇部分の温度環境を改善してコールドチェーンが途切れないようにすることがクレームを減らすためには不可欠です。

もうひとつの要因である流通時間は、短縮するどころか、年々長くなっています。

それは花産業が、安定供給と、生産者、市場および花店従業員の働き方改革を優先せざるをえないからです。

その背景には、輸送の2024年問題があります。

花市場での切り花のせりは毎日ではなく、原則、月水金の早朝です。

月水金を表日(おもてび)とよび切り花のせり、火木土を裏日(うらび)とよび鉢もの・苗もののせりをしています。

そのため、切り花では表日の前日の夜に産地からの入荷が集中していました。

それを輸送の2024年問題や市場従業員の働き方改革のために、せりの2日前集荷に早めました。

また、情報取引であるweb販売が主流になり、正確で速い出荷情報が必須になったことも2日前集荷が増えた要因です。

2日前出荷のためには、遠隔産地ではせりの3日前に採花することになり、花店に届くまで最短でも4日かかるようになりました。

おまけに、地方の市場での集荷がむずかしくなり、東京一極集中が進行しています。

その結果、東京の花市場が、市場のための市場の役わりを担うようになり、地方への転送が増え、流通時間がさらに長くなっています。

流通時間を短縮するには、東京一極集中を是正し、地方市場の集荷力を回復させなければなりません。

とはいえ、新規性のある花、希少な花、流行最先端な花などは、どうしても東京に依存せざるをえないため、流通時間を短縮するのはきわめてむずかしいのが現状です。

したがって、高温期の品質低下によるクレームを減らすためには、温度時間値のうち、ハード面の整備で解決できるコールドチェーンの充実に力を入れるべきです。

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