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【浜矩子が斬る! 日本経済】「中小企業の捨て身の賃上げに潜む落とし穴)」 "土台"崩壊の危機 直視を2024年9月5日

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財務省が4~6月期の法人企業統計を発表した。法人企業統計の中には、企業の人件費に関する情報が含まれている。ここでいう人件費は、役員と従業員の給与と賞与に社会保険料の負担を含む福利厚生費を加えたものだ。

エコノミストの浜矩子氏エコノミスト 浜矩子氏

4~6月期の人件費を企業別にみると、次のようになっている。大企業(資本金10億円以上)が前年同期比1・1%増。中堅企業(資本金1億円以上~10億円未満)が同6・0%増。中小企業(資本金1000万円以上~1億円未満)が同6・7%増だった。従業員給与に絞って前年同期比をみても、大企業1・7%増、中堅企業6・0%増、中小企業7・3%増となっている。要するに企業規模が小さくなればなるほど、人件費の対前年上昇率が高くなっているのである。特に、大企業と中小企業との上昇率格差が際立っている。

この姿が意味するところは何か。今年の春闘賃上げ率の集計が進められている段階では、こうではなかった。大企業の高率賃上げに、中小企業がついていけないという構図になっていた。ところが、蓋を開けてみれば、中小企業の人件費上昇が大企業に対して大きく先行しているのである。これは喜ぶべき現象か。中小企業の賃上げ余力が高まっているということか。つまり、彼らの収益力が強化されてきているということなのか。

どうも、そういうことではなさそうだ。中小企業は人材確保のために必死になっている。人材流出を堰き止めようと躍起になっている。それが実態なのである。現に、日本商工会議所の6月調査によれば、2024年度に入って賃上げを実施した、あるいは実施予定だと回答した中小企業のうち、59・1%が彼らの賃上げは「防衛的」なものだと答えている。「前向きな賃上げ」と答えた企業の比率は40・9%に止まった。「前向きな賃上げ」は収益力アップを反映した賃上げを意味する。「防衛的賃上げ」は説明を要しない。上記の必死と躍起に基づく捨て身の賃上げだ。

捨て身の賃上げも無理はない。中小企業の人手不足は深刻だ。6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によれば、雇用が「過剰」だと答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた「雇用人員判断」指数は大企業のマイナス28に対して中小企業はマイナス37だった。彼らは何とかして、何としてでも、人材を確保し、囲い込まなければならない。人手不足は中小企業にとって死活問題となりつつある。

だが、皮肉なもので彼らがサバイバルをかけて人手不足解消に奔走すればするほど、彼らのサバイバルは危うくなる。余力無き賃上げを重ねれば重ねるほど、結局のところ、彼らの経営は窮地に陥って行く。この4~6月期に集計された中小企業の労働分配率は70・3%に達している。賃上げ余力はどんどん小さくなっているのである。これに対して、大企業の数値は37・6%だった。これまでで最低の水準だ。両者の間の人員確保格差は深刻だ。

この状況がさらに深化すれば、日本経済全体にもジワジワと痛みが浸透して行くことになる。中小企業という土台無くして、日本の経済活動は成り立たない。地域経済の生産体系が機能しなくなる。地域社会が衰退する。左団扇でほくそ笑んでいる大企業も、寄って立つ基盤が揺らいで行けば、笑ってはいられなくなる。捨て身の賃上げ問題が浮上する以前から、中小企業を取り巻く環境は厳しさを深めていた。事業承継問題というもう一つの難題が、彼らに重く伸し掛かっていた。後継者不在が事業の存続を脅かしていた。後継者不足倒産、人手不足倒産。二つの倒産が日本の中小企業を追い詰めて行く。それは日本経済が追い詰められて行くことを意味する。

政策はこの事態を直視し、注視する必要がある。この事態に対して政策がなすべきことは何か。出来ることは何か。力の限り考えてもらいたい。

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