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シンとんぼ(109) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(19)-2024年9月14日

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シンとんぼは令和3512日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を実現するために、現場は何をすべきなのかを考察している。シンとんぼなりの結論は、「現在ある技術を正しく活用すれば、新たな技術開発やイノベーションを待たずとも、みどり戦略の大義は達成可能だろう」ということだった。そこで、みどり戦略対応のために農業現場はどう動くべきなのかについて検証しながら持論を展開しており、現在は有機農業の取組面積拡大に向けた新技術である「生物学的手法を駆使した害虫防除技術」の具体的な内容を検証している。その技術の1つに「共生生物を利用した害虫防除技術」があり、そのアプローチ手法には、①産雌性単為生殖化の利用、②細胞質不和合成の利用、③宿主の生存日数を減少させる微生物の利用、④抗生物質殺菌剤の利用、⑤耐性や適応性の変化の利用、⑥パラトランスジェネシスの利用の6つがある。

今回は、5つ目の⑤耐性や適応性の変化の利用を紹介する。

この技術は、共生微生物が害虫に寄生することで、害虫の諸性質が変化することを活用するものである。諸性質とは、ウイルス病への耐性が増すこととか、寄生する作物が変化することなどを利用するというものだ。

前者は、昆虫寄生性微生物が寄生することによって、昆虫にも存在する無数の病原体への耐性を獲得することを利用するものだ。これは、天敵昆虫に対して昆虫寄生性微生物を感染させることによって、例えばウイルス病などの耐性が増し、病気になりにくい天敵昆虫をつくり出し、死亡率の低い天敵をつくり出すことによって、天敵に長く元気に働いてもらうようにすることが想定されているようだ。

後者は、昆虫寄生性微生物Aが害虫Bに寄生することによって作物Cに寄生する性質が付与されるといった関係がある場合、害虫Bの体内にある昆虫寄生性微生物Aを除去することによって作物Cに寄生する性質が取り除かれることになり、昆虫寄生性微生物Aの感染を除去された害虫Bは、作物Cに寄生しないようにすることができると考えられている。つまり、害虫Bが作物Cに寄生しないようにしてしまえば、害虫Bによる作物Cに対する被害は起こりえないことになるということだ。

ただ、いずれの方法も害虫種と共生微生物の関係など今後の研究の進展を待つことが多く、2050年までに実用化されるかどうかはまだ未知数のようである。

(つづく)

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