カニを食べよう【イタリア通信】2024年9月18日
イタリアでは今、アオガニ(アメリカワタリガニ)が大量に発生して大問題になっています。
本来ならアメリカの大西洋岸に生息するアオガニが、船舶のパラスト水などを通じて地中海に移住してきました。
しかしこれまではあまり問題化していませんでしたが、2015にイタリアの海で存在が確認され、 2022 年には増加が目立ち、2023 年に急激に増え、アサリやムール貝などの生産に多大な被害を与えました。
原因は、海水温の上昇によりアオガニにとって最適な生息環境が形成され、定着して繁殖したためです。
そしてアオガニは貝類など好んで食するために、損害は1億ユーロ(約160億円)に達し、国は特別コミッショナーを任命して対策に当たっています。
被害は特にヴェネチアを州都とするヴェネト州とエミリア・ロマニャ州のアドリア海岸に多く、アサリの生産量の80%がアオガニの餌食になったそうです。
対策として貝類の養殖場に保護の網を設置しましたが、アオガニが小型化したために、網の目をくぐってしまい役に立たなくなってしまいました。
アオガニはアサリやムール貝だけでなく、ザルガイ、その他の甲殻類、小魚にも大打撃を与えています。

COLDIRETTO(農業協同組合)の漁業部門は「2023年の春から現在まで、ヴェネト州とエミリア・ロマニャ州の両方でアサリの生産は事実上ストップしており、アオガニは海底の砂から貝を引き抜き貝殻を粉砕するので名産のアサリやムール貝の養殖場が壊滅的な被害を受けている。 さらにカニが繁殖段階で小型化したために現在の網が役に立たなくなり、事業者はアサリなどを保護するのに適した網目ネットを備えた新しい設備への高額な投資を余儀なくされている。」と発表しました。
現在養殖場を網を張って守るほか、アオガニを捕獲して処理していますが、コストが掛かり大変。そこでイタリア人がアオガニを食べてくれれば問題の解決の一助となるとし、色々な料理法を考えています。

イタリア人はボンゴレのスパゲッティや魚介類のパススタなどが大好き。しかし地中海にはあまりカニはいないので、ほとんどの人が食べたことがないだけでなく、見たことも無い。日本ならば、海岸で小さなカニを見かけることがよくあるが、イタリアの海岸でカニを見るのはまれです。
私は一度だけヴェネチアで、土地でとれたカニの料理を食べたことがありますが、例外中の例外、長年イタリアに住む私も魚料理のレストランで、カニ料理が載ったメニューを見たことがありません。
しかし地方によってはスパゲッティのソースに使ったり、カニのリソットやスープが食べられます。
イタリア料理は非常に地域的なものであり、料理や食材は地域によって違います。たとえば、リグーリア州、カンパニア州、シチリア島、プーリア州では魚介類はとても一般的ですが、カニはそれほど普及していません。
またイタリアの多くの地域では、カニは地元の漁獲物ではないため、日常の料理に使用されませんでした。このため、伝統的なイタリア料理にカニはほとんど使われません。
その上 カニを調理するには殻をむくなどチョットした技術が必要で、他の魚介類に比べて面倒です。
イタリア人はシンプルで健康的な味を好む傾向があり、カニの味は甘くて繊細ですが、他の魚介類ほど誰にでも好まれる味とは言えません。
それにイタリア人は食べ物については保守的。最近は日本料理が流行っていますが、「ママの料理が最高」という人が多く、調理に面倒なカニは家庭料理に向かず食べたことがなかったと思います。
ブームの日本料理のメニューに入れば食べる人が増えるかもしれません。
イタリアのボンゴレを救うために、日本の料理法や食べ方をを教えてあげるのはどうでしょうか。
重要な記事
最新の記事
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第115回2025年11月17日 -
移動スーパーとくし丸「食と農をつなぐアワード」で「大臣官房長賞」受賞2025年11月17日 -
スーパーの米価 2週連続の上昇 5kg4316円2025年11月17日 -
藤原紀香「ゆるふわちゃんねる」信州が誇る「信州和牛」を堪能 JAタウン2025年11月17日 -
流通関係者・消費者の声に耳を傾ける「お米の流通に関する有識者懇話会」開催 JA全農2025年11月17日 -
大阪駅で「みのりみのるマルシェ 和歌山の実り」22日に開催 JA全農2025年11月17日 -
生活に1割の「農」を「91農業」インスタグラム開設 JA全農2025年11月17日 -
元卓球日本代表・石川佳純が全国を巡る卓球教室 青森で開催 JA全農2025年11月17日 -
「おこめ券」が泣いている【森島 賢・正義派の農政論】2025年11月17日 -
菅井友香が海道農業の魅力に触れる『ハイスクールキッチン』公開 ホクレン2025年11月17日 -
副理事長を公募 農研機構2025年11月17日 -
鋼材によるため池堤体補強工法 解説マニュアルを公開 農研機構2025年11月17日 -
シンジェンタジャパン初の農業用種子処理機「ゲペット」北海道で受注開始2025年11月17日 -
「DEEN Christmas Dinner Show 2025」ペアチケット抽選キャンペーン マルトモ2025年11月17日 -
冬のジビエの味覚をアピール「やまなしジビエフェア2025」開催 山梨県2025年11月17日 -
都市部の大学生へ「私の生き方探求プログラム」地域体験とワークショップ実施 雨風太陽2025年11月17日 -
「農業機械用伝動Vベルト設計計算プログラム実践講座」開催 バンドー化学2025年11月17日 -
冬休みに「おしごと体験」稲城市の特別施設で商品を仕分け パルシステム2025年11月17日 -
鳥インフル 米国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年11月17日 -
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年11月17日


































