【スマート農業の風】(9)農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
農業アプリを使う生産者が増えています。アグリオンやアグリハブなどスマートフォンで使うものや、アグリノート・Z-GIS・ザルビオなどPCとスマートフォンの両方で使えるもの、KSASのように農業機械データと連携して使えるものなど様々です。使い方についても、地図上のほ場データを登録しないで管理するタイプや、地図上にほ場データを登録し見える化しながら管理するタイプがあります。地図上にほ場を登録するタイプは、地図データがなければ使うことができません。ここでいう地図データとは、ほ場の形を電子地図上に標記したポリゴンと呼ばれるデータのことです。今回は、ポリゴンデータについてお話ししたいと思います。
クボタの提供するKSASは、クボタの農業機械とリンクし、機械の作動時間・作動場所・作業内容を把握でき、機械のメンテナンス管理の提案もしてくれます。もちろん、営農情報も入力可能です。ほ場の登録は、国の提供する筆ポリゴンをシステムにインストール済みで、自分のほ場を選ぶだけで登録が可能です。もちろん独自にポリゴンのサイズを変更できます。
全農の提供する営農管理ステムZ-GISはExcelをベースにしたアプリケーションです。Excelで作成したデータにインターネット上の電子地図をひもづけるタイプで、営農情報など登録したい内容はユーザー自身で決めることができます。必要最低限で記録をしたいユーザーはほ場を登録し、田植え日・品種など極端な話2項目だけでも登録ができます。もちろん今までユーザーがExcelで管理しているデータをそのまま使うことができます。ほ場の登録は、電子地図上からユーザーが場所を選んで登録をします。航空写真を参考にほ場のサイズに合わせ登録していきます。農水省の提供する筆ポリゴンやeMAFF農地ナビのデータを入れることができます。また一部では、ポリゴンデータの入力をおこなっている有料サービスもあり、ほ場の地番やユーザーの地図情報をもとにデータ作成をおこなっています。
BASFと全農が進めるxarvio(R)(ザルビオ)フィールドマネージャーは、電子地図上にほ場を登録し、稲であれば、田植えをした日・品種・田植え時の長さ・初期剤の情報を加えます。それだけで、登録した稲の成長予測を知ることができます。出穂や稲刈りのタイミングを知ることができ、その情報を参考に作業の準備ができます。また、天気や気温の動向から、病気のアラートや作業内容と適期の提案もしてくれます。このほか、登録したほ場の衛星写真も見ることができ、ほ場内の稲の状態を知ることができます。生育の良いところ悪いところの情報は、可変施肥データとして使い追肥や翌年の田植え時に使用できます。もちろん、それらのデータは引き出して、可変施肥が可能な機械に読み込ますことができます。ほ場の登録情報は、KASAS同様、筆ポリゴンのデータがインストール済みでそこから選ぶことも可能です。また、Z-GISで登録したデータをザルビオに読み込ませることも可能で、Z-GISのユーザーは手軽にザルビオを始めることができます。
ここで筆ポリゴンとeMAFF農地ナビについて説明をします。
筆ポリゴンは、農水省が提供する GIS(地理情報システム)ソフトウェア等で利用可能な農地の区画情報です。耕地面積調査等の母集団情報をもとに作成されました。衛星画像等の空中写真データをGISのマップ上に表示し、目視で判読した筆ごとの形状に沿って手作業で作成しています。農水省WEBページにオープンデータとして公開しており、誰でも自由に利用できます。
eMAFF農地ナビは、市町村および農業委員会が整備している農地台帳および農地に関する地図について、農業委員会等が農地法に基づき農地情報をインターネット上で公表するサイトです。インターネットを使用してパソコン・スマートフォン・タブレット等の画面上で誰でも農地の情報を閲覧・確認することができます。情報の一部は、ダウンロードが可能で地番情報・電子地図上のポリゴン情報を含め手に入れることができます。以前は全国農地ナビという情報でしたが、eMAFF農地ナビになり、筆ポリゴンの情報を掲示することができるようになりました。一方、筆ポリゴンはいままで、地番場を含んでおらず、eMAFF農地ナビで表示されることで、地番情報を含めたデータを参照できるようになりました。
全農では、これらのデータを活用できるようサービスを提供しています。筆ポリゴンのデータは、Z-GISで読み取り可能な状態に変換してあり、JA・県本部を通じて配布しています。eMAFF農地ナビでダウンロードしたデータは、そのままZ-GISで読み取ることが可能で地番情報を含んだデータを加工・参照することができます。Z-GISがあれば、ユーザーの持っている地番情報をもとに、ほ場を検索することも可能です。詳しい使い方は、全農のZ-GISの担当者にご確認ください。
農業アプリの導入は、スマート農業を進める上で重要なものです。農業アプリのデータを作成するには、大変な部分もありますが、農業アプリを提供する企業がそれぞれ工夫をしており、ユーザーが使いやすいものも多いものです。農業者のユーザーが、農業アプリを整備することで、GPS連動の可変施肥や自動運転の使用も検討できます。スマート農業導入を考えるときには、農業アプリの利用を前提に考えてみてはいかがでしょうか。
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