コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
1951年に日本で公開されたイタリアン・ネオ・リアリズムの代表作の一つとして有名な映画「苦いコメ」、出稼ぎの女性たちが田んぼで泥だらけになって稲刈りをするシーンが印象的です。
現在イタリアの女性農業経営者は約30%、この割合はEUの中でも高く、特に家族経営の農場や有機農業、持続可能な農業において女性のリーダーシップが目立ちます。
イタリアのコメ作りは北イタリアのポー川流域で行われており、特にトリノを州都とするピエモンテ州が有名。
クリスティーナ・ブリッツォラーリ(CristinaBrizzolari)さん(44歳)はそのピエモンテ州Casalbeltrame(カサルベルトラメ)村でコメ作り農園LA MOMDINAを経営するだけでなく、数万人の会員を持つCOLDIRETTI(イタリア自作農総連合会)州本部の会長も務めています。
彼女はスパゲッティと海が大好きなローマっ子。大学の商業経済学部を卒業後、ローマとロンドンで不動産仲介会社を経営していたが、10年前にピエモンテ州出身の夫の父親に代々続いてきた農園の立て直しを頼まれ、農業に転身しました。
農園は田んぼに囲まれた人口数千人ほどの村、カサールベルトラメにあり、クリスティーナさんはここの自然環境が気に入ってしまい引き受けました。
イタリアのコメ作りの歴史は古く、4-5世紀にはアジアから伝わってきていましたが、本格的な栽培が始まるのは15世紀ころ。北イタリア、特に湿地地帯が多いポー川の流域で生産されるようになりました。
そして19世紀から20世紀になると近代化が進み、コメの収穫量が大幅に増え、ヨーロッパ最大のコメの生産国になります。
同時に品種改良が進み、リソットなどイタリア料理に適した高級米が作られるようになり世界中に輸出しています。
クリスティアーノさんのはなし
「私はローマ生まれのローマ育ち、大学では経済を勉強し、ローマとロンドンで不動産仲介の仕事をしており、農業には全く縁がありませんでした。そんな私が夫の実家を訪れ、義父に代々続く農園の立て直しを頼まれました。夫はローマで会計士をやっており、農業を継ぐ気はありません。私はこの土地の田んぼやまわりの自然環境が大好きになり、農園の立て直しを引き受けました。
私はここで高級米を作ることにし、田んぼは1年ごとに米と野菜やトウモロコシを交互に作り、土の質を維持しています。
去年は旱魃、今年は雨続きと気候変動には悩まされています。本来なら10月半ばには終わる稲刈りが今年は雨のための11月になっても未だ終わっていません。
でもコメ作りは楽しいし、やり甲斐があります。私の作っているRISO BUONO(美味しいお米)は高級なイタリアレストランのリソットには欠かせないもの。世界中に輸出しており、日本にも少し出しています。
そして私の村にはお米博物館があります。」
お米博物館(MUSEO DEL RISO)
昔の貴族の農園の建物を利用したこの博物館は、特にこの地域の稲作文化と伝統に焦点を当てており、ピエモンテの豊かな農業遺産が保存・展示され、伝統的な農具、古いトラクター、脱穀機など、稲作に関連するさまざまな道具や機械を見ることが出来ます。
そして稲作がどのように発展してきたかを詳しく説明し、昔の農村生活をより深く理解することが出来るように、伝統的な住居や作業場を再現し展示しています。
博物館の周囲には実際の田園風景が広がり、訪問者は現地の自然環境を散策しながら稲作の現場を見学することもできます。
このように博物館は稲作が単なる農業活動を超え、地域文化や伝統にどのように根付いているかを知る絶好の機会を提供しており、地元の学校や観光客に人気があります。
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