トリュフで地震からの復興を【イタリア通信】2024年12月14日
ローマから東へ100キロ、アブルッツォ州の州都である人口7万人のラクイラ市は、2009年に震度6強の地震に見舞われ、死者309人、ラクイラ城をはじめ、市内の中世、ルネッサンスの建物の多くが被害を受けました。
それから15年。石造りの古い建物の修復は手作業なのでとても時間がかかりますが、市内の建物はだいぶ復旧し町に活気が戻り始めました。
そんな町を元気づけようと、2年前から町の中心のドーモ広場に仮設会場を作り、土地の特産品である世界3大珍味の一つのトリュフのフェアーを始めました。
今年は11月29日から12月1日。フェアーには50を超える出展者が参加し、トリュフをはじめとする農産物のみならず、観光促進、商業活性化、そして地域全体のポジティブなイメージを盛り上げていました。
トリュフはキャビアやフォアグラと並ぶ世界の三大珍味の一つ。キャビアやフォアグラはチョウザメやガチョウを養殖して作ることが出来ますが、キノコの一種であるトリュフは自然に発生するものを探さなければなりません。
その上トリュフは地中に育つので見つけることが難しく、犬や豚の嗅覚に頼ってさがします。もっとも豚は見つけると食べてしまう可能性が高いので、ほとんどは犬を使っているそうです。
ちなみに白トリュフは1キロ30万円~100万円。黒トリュフでも1キロ5万円~30万円です。
フェアー会場にトリュフ狩りする犬を連れた若者がいたので話を聞きました。
ドメニコさん(39歳)は趣味と実益を兼ねて、愛犬のナンシーとトリュフ狩りをしているそうです。
「トリュフをさがすにはまず犬を訓練しなければなりません、子犬のころにトリュフの匂いを嗅がせ、覚えたら持ってこさせてご褒美をあげます。それから林などに連れて行き訓練を続け、地中にあるトリュフを傷つけずにほることを教えます。もちろん最後に掘り出すのは僕です。トリュフ狩りするには試験を受けて州が発行する免許証を取得しなければなりません。この免許証は国内ならばどこでも通用します。そしてトリュフ狩りのためなら囲いがされていない限り、どこの林にでも自由に入ることが出来ます」
会場はトリュフの匂いがあふれ、また催物会場ではトリュフを使った料理の講習やお菓子の試食も行われていました。
出店しているのはみな州内の家族経営の農園の人たち。
自分でもトリュフ狩りを行い、トリュフ入りのチーズやトリュフの瓶詰を売っている人。
代々続くオリーブ園を持ち、収穫からオイルの抽出、瓶詰まですべてを自分たちで行い高級オリーブオイルを作っている女性経営者と娘さんたちの店。生のトリュフを並べている店など、それぞれが自分たちで作っている食品を並べています。
色々とある中に、ラクイラの農業専門学校の生徒が自分たちで作ったチーズや瓶詰、ビールまで並べているのが目を引きました。みな「将来は農園経営をやりたい」と話しています。ここに出店している小さな農園経営者が自分たちの作物を商品化してインターネットなどで販売しているのに刺激を受けているようです。
またフェアー期間中は市内の18のレストランがトリュフを使った料理を提供。日曜日には会場の広場で中世の衣装を身につけた市民による旗行進。そして鷹匠のデモストレーション。と中世の自由都市、ラクイラの人たちは皆でフェアーを支え、町の再建に力を入れています。
注:日本語ではトリュフと呼ばれているのでそう書きましたが、イタリア語ではタルトゥーフォ(TARTUFO)です。
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