コメのスポット価格に上限があるのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年1月14日
1月11日に滋賀県のコメ集荷業者の主催で生産者研修会が開催された。研修会では京都の老舗米穀店八代目儀兵衛が自社の取組みと食味評価で特許を取得したことを紹介、精米方法やブレンドによって炊飯米の食味が向上、安定することを示し、7年産で求められる品種について契約栽培を要請した。また、㈱フェイガー社はCO₂削減でカーボンクレジットに取り組んでおり、水稲の中干し延長でクレジット代金が受け取れることを紹介、その取り組みが急拡大、2024年は1200戸が取組み、CO₂削減は約6000tにもなっており、今後13万5000tを目標に36道県で取り組むことにしているとした。この研修会で著者もコメの価格を中心に現状を説明、異常な高騰がコメ業界にもたらす影響について話した。
コメの価格の現状を説明する際に、市場で取引されている「スポット価格」、農水省の「相対価格」、総務省の「小売価格」、堂島取の「先物価格」の直近の値動きを示したグラフを紹介した。
スポット価格は、仲介業者が自社の取引で成約した価格帯や市場の動きを短くコメントで一般にも公開しているところもあれば取引参加者だけ公表しているところや成約価格を売買当事者以外には伝えないところもあるなど様々である。その中でクリスタルライスは定期的に主な産地銘柄の成約価格を公表しているので、時系列的な価格推移がわかりやすい。その価格推移を示しグラフを印字して生産者に配布して、ついでに日本農産情報やアグリノート米市場、みらい米市場を活用しているか聞いてみたところほとんど活用している生産者はいなかった。仲介業者の中には営農支援ツールのアプリでよく知られている企業もあるので、何人かは活用しているのでないかと思ったのだが意外であった。
このアプリは2万6000戸が利用しているが、市場に登録しているコメ生産者は2170戸に留まっている。みらい米市場に至っては設立から1年を過ぎているが成約数量は4170俵に過ぎない。最も成約数量が多いのが日本農産情報で年間約150万俵ほどの成約量があり、今年は6年産の取引量はすでに1.6倍の取引量になっているというので年間ベースでは200万俵を超えるかもしれない。日経新聞やコメ業界専門紙に掲載されているコメの価格は市場で売り買いされているスポット価格である。
これに対して農水省が毎月公表している相対価格は5000t以上の出荷業者からの報告で、かつ「出荷業者と卸業者等の間で数量と価格が決定された主食用の相対取引契約の価格」である。このため年産が変わった昨年9月には前月より1万円高くなったり、魚沼コシヒカリより茨城コシヒカリの方が7000円も高いというデータが公表されることになり、価格の調査方法とどの時点での価格であるのか知らないと誤解を生むことになる。価格公表の透明性という点では堂島の先物取引価格は、今年2月から新米が出回る10月、12月までの価格が毎日公表され誰でもその価格を見ることが出来るので最も透明性があると言える。先物取引の場合、過度の価格変動を避けるために値幅制限が業務規程で定められている。その内容はやや煩雑であるためざっくりというと、通常は、ストップ高ストップ安は1俵300円だが何度も続くと1000円まで拡大される。1日の取引ではこの範囲の価格変動内で行われるということになる。
では、市場で取引されるスポット価格に値幅制限があるのかというとそれはない。なぜなら不特定多数の相対取引で売り手買い手が合意すればどのような価格であっても成立する。ところが現状は天井知らずの価格高騰状態にあることからクリスタルライスは1月16日に開催する取引会から売り手の売り唱え価格を上限にするという。どういうことかというとクリスタルライスは定期的にFAX取引会を開催しており、主催者が取引会開催日の朝、買い手に対して産地銘柄、年産、受け渡し場所、1俵当たりの価格を記載した売りメニューをFAXで送信する。これまでの取引では売人が示した価格より高い価格でオファーして玉を確保するということが可能であったが、1月16日から売人の価格を上限にすることになった。当然、売り玉には数量の制限があるため買い手多数の場合には抽選になる。米穀業者が集まった席上取引会や全米工の取引会でも抽選やじゃんけんになるケースはままある。
売人の価格が上限になるのであれば、出来るだけ高い価格で提示してみるというのも一手である。実際、1月9日に開催された全米工東日本取引会では、とちぎの星1,2等が置場4万2000円という売り物があった。これは買い手が付かず成約しなかったが、クリスタルライスの買い手は全国から参加するので今の状況ではいくらが上限なのか計り知れないため売人の売り唱え価格は必見である。
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